2018.01.23

みま、みう、1年後の全日本での明暗。
2人の卓球の何が変わったのか

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  中村博之●写真 photo by Nakamura hiroyuki/PICSPORT

全日本選手権「3冠」を達成した伊藤美誠 卓球全日本選手権でミックスダブルス、ダブルス、シングルスの3冠を達成し、満面の笑みを浮かべた伊藤美誠(みま)。「優勝する」という強い意志と厳しい練習で培った自信がプレーに溢れ出ており、勝つべくして勝ったという優勝だった。

 一方、2連覇を達成できず、準優勝に終わった平野美宇(みう)。

 勝者と敗者に宿る表情はいつも対照的だが、この日のふたりはその落差がとりわけ大きかった。

 平野は昨年の大会で石川佳純を破って初優勝を果たし、今大会も初戦を4-0のストレート勝ちで上々のスタートを切った。しかし、その後は準決勝まで3試合連続でフルセットの接戦を演じ、辛うじて勝った試合ばかりだった。とりわけベスト16の松澤茉里奈(まりな)との試合は7ゲーム目12-10にまでもつれ、平野が負けていてもおかしくない内容だった。

「みんなのレベルが上がっていますし、みんな、私の卓球を知っているので簡単に勝てる試合はないです。それでも競り合って勝てているのは、優勝した経験があるので落ち着いて戦えたからだと思います」

 準決勝の後、平野は表情を変えずにそう語った。

 研究されてもそれを乗り越えるための練習をしてきたという。しかし、プレーからはそう感じられない。ここぞという時に一瞬、スイッチが入ったように強烈なスマッシュを決めたりはするが、続かない。調子について聞かれても「悪いとは思っていない」と不調を否定した。

 すべての選手の目標になり、追われる者のつらさ、厳しさを今大会、肌で感じていたのかもしれない。だが、それにしても前回優勝時のような勢いがなく、表情に覇気がない。明るく元気に「優勝したい」と口癖のように語っていた頃とは、なんだか別人のようだった。