みま、みう、1年後の全日本での明暗。2人の卓球の何が変わったのか (2ページ目)
決勝戦で伊藤に圧倒され、敗れた後の記者会見で平野は、こういった。
「(大会が)始まる前から自信がなくて......。優勝したい気持ちがあったんですけど、ここまで来られると思っていませんでした」
自信がないというのは、昨年後半以降の成績の推移を見れば、理解できる。
平野は昨年の全日本選手権で優勝後、アジア選手権の準々決勝では世界ランキング1位の丁寧(中国)を破り、優勝した。続く世界選手権でも3位になり、銅メダルを獲得した。そこまではよかったが、その後は「美宇の卓球」を研究され、持ち味である素早く強烈なバックハンドなども対策を練られ、勝てなくなった。
昨年12月に行なわれたワールドツアーグランドファイナルでは1回戦負けを喫し、その悪い流れのまま今大会に突入してしまったのだろう。最後に「自信がなくて......」と語ったのは、昨年からの勝てない流れを今も引きずり、自分の中でどうすべきか消化し切れていないことで漏れた、悲痛な心の叫びだった。
一方、優勝した伊藤は気迫と自信に満ちていた。
昨年は5回戦で敗れ、肩を落としたが、今大会では4回戦を4-2、5回戦ではカットマンの橋本帆乃香を4-0、準々決勝の石垣優香には1ゲーム目を落とすも修正し、4-1で勝利。石垣は「(伊藤選手は)非常にうまいですし、2ゲーム目から何もできないように対応してきた」と、伊藤の技術の高さと対応力に脱帽していた。
準決勝の石川佳純との試合も1ゲーム目を落とした後、松﨑太佑(たいすけ)コーチと「相手がどういう攻めをしてきたのかを分析した」という。そうして、しっかりと修正し、終わってみれば4-1で危なげなく勝利した。
「伊藤選手は凡ミスが減ったし、スマッシュがいい。今までは(相手の)ドライブが良くてもラリーでは負けないという自信があったんですけど、強気で来ていて、スマッシュを打たれてしまった。自分のボールがどんどん甘くなって相手に主導権を握られてしまったかなと思います」(石川)
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