エース平野美宇も「返り討ち」に。卓球王国・中国の背中はまだ遠い (2ページ目)

  • 飯尾篤史●文 text by Iio Atsushi
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura hiroyuki/PICSPORT

 ところが、17日午前に行なわれた韓国のチョン・ジヒ(同18位)との2回戦は、試合への入りがいい平野にしては珍しく、第1ゲームを13-15で落とす波乱含みの立ち上がり。「思ったよりも(相手の)ボールがゆっくりでタイミングが合わなくて、てこずってしまった」と振り返ったように、第7ゲームまでもつれ、4-3でなんとか振り切った。

 こうして迎えた午後の準々決勝。相手はアジア選手権の決勝でストレート勝ちしている陳夢だった。この時点で日本の女子選手はすべて敗れ、平野がいわば最後の砦。しかし、ラリーで力負けするなど後手に回り、雪辱に燃える陳夢に0−4で完敗。試合時間わずか40分ほどで決着がついてしまった。

「自分のペースになることがほとんどなかった。サーブでもラリーでも負けて、前より勝つ場所が少なくなっている」

 平野は淡々と振り返ったが、その言葉数の少なさが、かえって悔しさを感じさせた。とりわけサーブ3球目やレシーブ4球目での負けが多く、得意のバックハンドを繰り出すシチュエーションに持ち込めなかったのが痛かった。

 対戦相手の陳夢にとって、この勝利がいかに会心のものだったかは、勝負が決した瞬間の雄叫びからも明らかだった。平野が「負けてあんなに吠えられることはあまりない」と言うほど、感情を爆発させた。日本人選手に2回続けて敗れることは、卓球大国の選手として許されない――。そうしたプライドが懸かった一戦だったに違いない。

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