【ハンドボール】リオ五輪に向けて、「おりひめジャパン」いざ出陣!

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

「ここでやめたら後悔するだろうなって。大きい大会で優勝もしてない。五輪予選にも、本戦にも出たこともない。やめても後悔しなくなるまで続けようと決めたら、今日になっていました」

 代表落ちとアキレス腱断裂、「つらかったのはどちらか?」と聞くと、彼女は「代表に入れなかったこと」と即答した。

「でも、4年前の予選にもし出られていたら、その後にアキレス腱を切ったタイミングで引退していたと思うんです。あの日、代表に選ばれなかったからこそ、『頑張ろう。私の小ささを生かそう』と思えたんです。挫折があってこそ今があります。もちろんこんなこと、当時は思ってなかったですけどね(笑)。振り返れば、そこにストーリーができていたという感じです」

 その物語のクライマックスは、25日の対韓国戦になることは間違いない。

 一度は終わった物語が、再び動き出したのが藤井紫緒(宣真高等学校教員)だ。藤井は3月に現役引退を表明。母校で保健体育の教員となった。しかし、9月1日の合宿から代表に招集され、現役復帰している。

「もちろん復帰する気はありませんでした。でも、代表の試合が終わるたびに、キャプテンや石立から『ロングシュートが打てる選手が必要』『左利きが少ない。あなたが必要』って連絡をもらって。監督からも、『機動力と得点力のために、おまえが必要だ』と言われ復帰を決めました。学校の先生方から、『オリンピック予選に参加できるのは、誰にでもできることじゃないよ。行っておいで』と言っていただけたのも大きかったです」

 さらに、生徒たちが藤井の背中を押した。

「『先生を誇りに思う。カッコいい姿、見せてください』って言われました」

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