バスケ日本代表の「ニューカマー」注目は204cmの高校生ビッグマン ダイブも3Pもできる期待の原石 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【ホーバスHC「ロサンゼルスを狙える」】

 現状での渡邉が「原石の範疇を出ない」ことは否めない。体重は97kgしかなく(同じ身長の長崎ヴェルカの川真田紘也は110kg)、線の細さを今後解消していくことは必須だ。肝要なのは、この18歳の原石を磨き続けることで、3年後、4年後にどんな光を放つ石となるかだ。

 渡邉は3Pを得意としており、2対2の場面で自身がスクリーンをかけたところから中に切れ込む「ダイブ」もできれば、逆に外へ出て3Pを打つ「ポップ」の動きもできる。このふたつを精度高くできるようになれば、相手ディフェンスは守りにくくなるし、日本のオフェンスに多くの得点機を作り出すことができる。

 渡邉は少年期に所属していたチームのコーチから、元NBAダラス・マーベリックスのダーク・ノビツキーの動画を見せてもらっていたという。213cmの長身ながらアウトサイドの技量に傑出したドイツ人は「史上最高のPFのひとり」。そんな選手のプレーを見ていたことも、渡邉のプレースタイルに影響を与えていたと推察できる。

 また、日本代表には同じく「ダイブ」も「ポップ」もできるジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)がいる。パリ五輪でも大活躍したホーキンソンを間近で見ることで、学ぶことも多いだろう。

 渡邉はホーバスHCから「ロサンゼルスを狙える」という言葉をもらったという。それ以来、「2028年には絶対に出るんだ」という気持ちを強くしながら励んできた。

 ホーバスHCは「鍛冶職人が鉄を叩き続けることで、さらに強い日本刀となる」というアナロジーを用いて、選手を鍛え上げることの重要性を説く。ホーバスHCの指導のもと、河村や無名の存在から代表スターターに成長した吉井裕鷹(三遠)のように、渡邉も3年後、4年後に花を開かせて「代表の重要なパズルのピース」となっているかもしれない。

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