八村塁が加わることで「可能性は無限大に広がる」 バスケ日本代表元キャプテン篠山竜青が見た新生ホーバスジャパン (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

【トム・ホーバス体制で確実に変わったこと】

── 東京オリンピックまでは八村選手を使ったセットプレーが多く、しかし彼にボールを入れなければとパス側がこだわりすぎたため、ボールが停滞したこともあったようですね。

「2019年もそうでした。だから、よくも悪くもニック(・ファジーカス/2019年ワールドカップで帰化選手としてプレー)の『死んでいた』時間帯があり、八村選手と渡邊選手は出ているけどボールタッチがうまくいかなくて、ズレのない状態でボールを受けることも多かった。

 2019年のワールドカップでは後悔がいろいろあって、もっと積極的に走って、相手の準備ができていない状況から1個目のボールスクリーンを使うことができればよかった。でも、ペースをスローダウンさせて相手のポゼッション(攻撃回数)の数を減らしたいということで、ゆっくり運んでから『よーい、ドン』で始めるしかなかった。そこはガードとしてすごく苦労しましたし、落ち着いてボールをキープするだけの力がなかったのが反省点です。

 さっさとプレーを始めて、相手の準備が整いきる前にズレを作っていくことが必要だったと思うんです。トムさんになって、そこは確実に変わってきているんじゃないかと思います」

── 八村選手の成長については、どのように感じていますか?

「あれだけの名門クラブ(レイカーズ)でスターターやシックスマンとして出場し、プレーオフも戦っているので、精神的な図太さ、動じないメンタリティは明らかに変わったと思います。2019年の時はまだ大学生で、NBAでドラフトされたばかり。いろんなことがめまぐるしく変わっていってストレスもあったと思うし、それは見ていて感じるものがありました。でも、そこから修羅場を何度もくぐってきたことが、今の精神的な成長につながっていると思います。

 今や3Pシュートの確率やリム周りの決定力も、NBAで上位に入るようになりました。レブロン(・ジェームズ)やフィル・ハンディ(昨季までレイカーズのアシスタントコーチ)と一緒にワークアウトをしたことで、彼のアスレチックな動きがより洗練されて、無駄のない動きが増えたのだと思います」

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る