馬場雄大が泣いた日から半年 頼れる男になった28歳は「次、勝っても、泣かない」 (4ページ目)
【日本代表の軸は渡邊雄太と八村塁だけじゃない】
馬場も、今はより「日本の一員として戦う」心境でコートに立っているという。
「ワールドカップでは正直、結果を出そうとしすぎたところがありました。でも、Bリーグに入ってからは、なにか違うんじゃないか、バスケットボールはひとりだけがよくてもいけない、みんなで一緒に上がっていくものじゃないか、もっとチームメイトを大切にすることやポジティブで明るいエネルギーを与えるのがいいのではないか......そんなふうに、ワールドカップ以降の意識は変化してきました」
世界大会での8連敗、海外での修業の日々、そしてワールドカップでの歓喜──。そうしたさまざまな経験が、馬場雄大という選手をひと回り大きな人物にした。
2022年から、トレーニングの一環として瞑想も取り入れているそうだ。あるいはそれも、彼を地に足のついた姿勢にさせているのかもしれない。
パリオリンピックで、日本は個に頼るのではなく、あくまでチームとして「1+1」を「2」以上にするような戦いをしなければならない。そして同大会では、渡邊と八村塁(SF/ロサンゼルス・レイカーズ)というふたりのNBAプレーヤーが参戦すれば彼らを中核とするのを承知しながら、馬場という「頼れる男」の力量にも期待せずにはいられない。
負の連鎖は、沖縄でのワールドカップで断ち切った。パリには、勝ちに行く。
柔和な笑顔をたたえながら、馬場が言う。
「次、勝っても、泣かないと思います」
著者プロフィール
永塚和志 (ながつか・かずし)
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。
Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、 2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。 他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験 もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社) があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・ 篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社) 等の取材構成にも関わっている。
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