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馬場雄大が泣いた日から半年 頼れる男になった28歳は「次、勝っても、泣かない」 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

強気のシュートでチーム最多の24得点をマーク photo by ©FIBA強気のシュートでチーム最多の24得点をマーク photo by ©FIBAこの記事に関連する写真を見る

【トム・ホーバスHCが馬場雄大の成長を振り返る】

 出色は第4クオーター、残り9分強で決めた華麗なレイアップだった。

 コーナーから上がってパスを受けた馬場は、味方のスクリーンを利用してズレを作ると躊躇なく中へ切れ込み、ふたりの相手ディフェンダーの間を縫いながら左手でボールにスピンをかけると、バックボードに跳ね返ったボールはリングに吸い込まれる。ファウルももらっていたため、バスケットカウントとなった。

「空いたら打つ、というメンタリティでいたので、シュートが入ってよかったです。それで相手が3Pをかなり警戒し始めたので、ペイントに空間を見つけて。そこは自分の得意としているところ。ディフェンスの守り方を見て、冷静に判断できたかなと思います」

 前後半で異なる手段から得点を奪ったことについて、馬場はこのように語った。

 前半は「3Pシューター」として、そして後半はひるがえってリングへ切り込んでいく「スラッシャー」と化し、相手次第でスタイルを変化(この場合は「へんげ」と読みたい)させることのできる幅の広さは、才能の集まる日本代表のなかでも抜けているように見える。

 馬場は筑波大学、そしてBリーグ・アルバルク東京でのプレーを経て、オーストラリアNBLやNBAの下部組織Gリーグでプレーをしてきた。それは目標であるNBAにたどり着くためだ。

 そうして「修業」を重ねる馬場のNBA入りを、日本代表のトム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)も後押ししてきた。体の大きくない馬場がNBA入りするには「3Pも必要である」と説き、輪ゴムを使ってシュートフォームを矯正したり、得意のドライブインにバリエーションを加えるための指導も行なっている。

 ホーバスHCが当時のことを回顧する。

「1年ちょっと前かな。馬場は右へドライブに行きがちな選手だったけど、ジャンプストップとかジャンプストップスピンとか、いろいろ教えました。だから馬場がジャンプストップするとすごくうれしいし、うまくなったなと。バスケットのプレーに深みが出るようになりました。

 右ドライブだけじゃなくて3Pもある。左へのドライブも、今日は何度も見せました。左へのドライブからスピン、左へのドライブからのジャンプストップ。そういうのを見るとうれしいですね」

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