バスケ日本代表入りの戦いに挑む原修太の決意 パリ五輪へ「自分の色をもっと出したい」 (3ページ目)

  • 取材・文●永塚和志 text by Nagatsuka Kaz
  • 写真●村上庄吾 photos by Murakami Shogo

【ジェッツでも代表でも自分の色を】

――アジアカップ予選の代表候補にも選ばれました。ワールドカップで課題として残った部分を生かしながらプレーしていく感じでしょうか?

「やれることはもう自分の色を出すことだと思っているので、特に代表だから変えるっていうよりは、代表のシステムの中で自分のよさをもっと出すことが大事なのかなと思います。

 ジェッツではポイントカードみたいなボールを運ぶ役割も任されているのですが、代表では基本的にセットプレーはポイントガード主導でやることが多く、ボールを触る時間が少なくなるので、チームのために自分の色を出す部分を考えながらやっていきたいなと思っています」

――ワールドカップから半年が経ちましたが、今回の代表活動はアジアカップ予選というよりも、パリ五輪へ向けてといった気持ちが強いですか?

「ワールドカップ本選には選んでいただいたんですけど、本当に誰が選ばれてもおかしくなかった。特に僕のポジション(シューティングガード)は、マコさん(比江島)が言ってたと思いますが、胃が痛くなるようなギリギリの競争だったので、前回選ばれているかといって今回も選ばれる保証はないですし、また競争が始まる......と思うと、ちょっと嫌かもしれないっすね(苦笑)」

――ワールドカップ前には「選ばれたらラッキー」と考えていたとおっしゃっていましたが、今はワールドカップを経験して、パリ五輪のメンバー入りに向けての心境は違うところはありますか?

「そうですね。ワールドカップに選ばれてまた(パリ五輪に)行きたいという思いが今はあるので、そのために勝ち残らなきゃいけない気持ちはあります。その点はワールドカップの合宿前とはやっぱり違いますね」

――ワールドカップを経験したことは他の選手たちに比べて有利に働くと考えていますか?

「関係ないと、僕は思っています。8月中旬の有明の強化試合をする前までは須田さんも金近も、ケガをしてしまったヒュー(渡邉飛勇/琉球ゴールデンキングス)もいましたし、変わりはなく、みんな同じスタートラインからなんじゃないかと思います」

――オリンピックはワールドカップとはまた違う世界大会ですが、どういった印象ですか?

「ワールドカップより厳しい戦いになると思っています。(パリ五輪の出場は)12チームで、ワールドカップでアジア1位になるより、オリンピックのOQT(世界最終予選)で勝ち残るほうが難しいと、沖縄で戦った12人がそう考えていたからこそ、アジア1位を狙って頑張ったわけですから。

 オリンピックは厳しいOQTを勝ち抜いた12チームになると考えると、ワールドカップで(日本が)勝ったチームよりもレベルの高いことをやらなきゃいけないので、楽しみではあります」

――東京五輪の時は日本代表への意識はどのくらい持っていたのですか。また、実際に代表の戦いぶりはどう見ていたのですか?

「日本代表を目指してはいたんですけど、東京五輪までは(実力的に)絶対呼ばれないと思っていました。(実際の本戦は)第三者の目線で見ていましたが、やっぱりレベルが高かったし、日本は1回も勝てなかった。ただ(初戦の)スペイン戦では前半いい試合をしていましたから、それを40分間続けていけば、いけるんじゃないかとかも、その時は思っていました」

インタビュー後編に続く

【Profile】原修太(はら・しゅうた)/1993年12月17日生まれ、千葉県出身。市立習志野高→国士舘大→千葉ジェッツ。身長187cm、体重97kg。高校までは全国大会で目立った活躍はなかったが、大学入学後から徐々に才能を開花しシューターとして活躍。大学卒業後に当時、NBLの千葉ジェッツに入団すると、プロ2年目、Bリーグ開幕の2016-17シーズンから徐々に出場機会を増やし、3年目からはチームの主力に定着。これまでBリーグ優勝1回、天皇杯優勝4回を経験。2022-23シーズンはリーグのベストディフェンダー賞、ベスト5に選出され、2023年夏のワールドカップでは日本代表としてパリ五輪出場権獲得に貢献した。愛称は「ハラーニ」。

プロフィール

  • 永塚和志

    永塚和志 (ながつか・かずし)

    スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019W杯等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る