バスケ日本代表入りの戦いに挑む原修太の決意 パリ五輪へ「自分の色をもっと出したい」 (2ページ目)

  • 取材・文●永塚和志 text by Nagatsuka Kaz
  • 写真●村上庄吾 photos by Murakami Shogo

【代表メンバー争いの葛藤を経て】

――同じシューティングガード(SG)には多くの候補選手がいます。

「正直、トム・ホーバスヘッドコーチの体制になってから最初に呼ばれていただけで、その後は1回も出ていませんでしたので、本当に下のほうからのスタートでした。

 本大会前の6月にギリギリに呼んでいただいて、須田(侑太郎/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)さんとか金近(廉/千葉ジェッツ)とかたくさんライバルがいるなかで、『仲間だけどライバル』という状況で合宿を2カ月間ずっとやっていましたが、その期間は難しかったです。

 というのも、個人競技であればライバルと思えるかもしれないですけど、やっぱりチームスポーツなので仲間でもあるわけです。一方で自分もアピールしなきゃいけない、いつも同じポジションの人が活躍することによって自分が選ばれないかもしれないとか、そういう際(きわ)の部分でやっていたので、結構ストレスもありました。

 でもそういうことを経て、コートにスタメンにしていただいた時は、本当に『やっとここまで来た』っていう気持ちにはなりましたね」

――比江島慎選手(宇都宮ブレックス)などは、大会前の合宿中、競争の激しさから「胃が痛い」と言っていました。

「そうですね。本当にみんなよかったですし、正直、難しいですよね。SNSはあんまり見ないようにしていたんですけど、ツイッター(現X)だと『おすすめ』が出てくるようになっているので、『誰がいい』なんていうコメントが出てくる。途中からはもう見るのもやめたんですけど、そういう情報が常に入ってくるなか、みんな、ピリピリしていましたね」

――本戦のメンバーに選ばれて「ここがよかったから」などの理由は、ホーバスヘッドコーチから聞かされたのですか?

「いや、ここがいいからというよりは、僕はディフェンスを買われて合宿に呼ばれたわけですが、(強化試合の)初戦の台湾戦でシュート決められたのが一番の大きなターニングポイントだったのかなとは思っています。本当に、本戦よりもその2カ月が一番つらかったですね」

――大会本番についてはいかがですか。

「本大会中は、勝ったフィンランド戦でも個人で点を決められなかったとか課題やできなかった部分はありました。そんななかでも、一番大事なのは国を背負い、国として結果を残すというマインドだったので、悔しい気持ちもあったんですけど、大会中も結構、チームのことを考えるのは大変でした」

――ドイツとフィンランドとの試合では先発をした一方で、大会全体では出場時間(平均8.7分、得点はなし)と伸びなかったが、そこについてはどう振り返りますか?

「やっぱりBリーグのチーム(ジェッツ)とは役割が違います。ディフェンダーであることに変わりはないかもしれないですけど、オフェンスもディフェンスもシステムが違う中で、もう少し自分の色を出せたらもっと代表でも貢献できたんじゃないかなとは思います。

 ただ、途中からは切り替えて、本当にスタッツに表われない部分、ディフェンスで前から当たって圧をかけたり、短い時間の中でもやろうっていう意識はしていました」

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