渡邊雄太「このメンバーで、ずっとバスケをやっていたい」感動を与えてくれたホーバスジャパンの「旅」はまだ終わらない (4ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【日本の実力を世界の強豪国に示すことができた】

 この「信じる力」の浸透は、河村勇輝(PG/横浜ビー・コルセアーズ)や富永啓生(SG/ネブラスカ大)といった若い選手が物怖じせず、コート上で堂々とプレーできたところにもつながった。

 フィンランド戦の逆転勝利はこのふたりなしではありえなかったし、カーボベルデ戦でも富永が3Pを6本沈めるなどで22得点を挙げ、河村は8アシスト3スティールをマークし、前半でリードを築くのに大きく寄与した。

「今の若手はすごい選手たちです。河村勇輝、富永啓生......(最終メンバー)12人には残らなかったですけど、合宿に参加した若い子たちもいて、逆に僕たちが刺激を受けるくらい、下からの勢いを感じました」(東野)

 ホーバスHCのスタイルによる躍進は、数字でも如実だ。

 2019年は1試合平均66.8得点だったが、今回は83.2得点にまで上昇。3Pシュートの試投数も前回の18.8本から32.6本へと大幅な伸びを見せている。

 ここ最近の日本の「球技代表チーム」は、昨年末のサッカーワールドカップや今春のワールドベースボールクラシック(WBC)の優勝などで、世界を驚かす結果をもたらしている。

 では、バスケットボールワールドカップでの日本代表はどうか──。

 ドイツやオーストラリアを破っていたらそう言えたかもしれないが......と、ホーバスHCは言う。ただ、そのドイツやオーストラリアを相手に、いずれの試合でも後半の得点だけで言えば上回るなど、強豪国からリスペクトを得ることは一定程度できたとホーバスHCは語る。

「自分たちのできることを世界に示すことができたと思いますし、各国の『レーダー』にひっかかる存在になったと思います。大きなステップです。(2016年の)リオオリンピックで日本女子代表は9位に終わりましたが、その戦いぶりで他国から尊敬を集めることができました」

 世界最高峰の舞台で強敵を相手にする戦いは、選手たちの体を容赦なく痛めつけ、精神的にもきつかったはずだ。しかし終わってみれば、パリオリンピックへの出場権を獲得するという好結果を得て、見るものを惹きつけた代表チームの「旅」は甘美なものとなった。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る