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渡邊雄太「このメンバーで、ずっとバスケをやっていたい」感動を与えてくれたホーバスジャパンの「旅」はまだ終わらない (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【ふだんはクールな富樫勇樹も興奮した口調で語った】

 日本が開催国枠を持たない時、世界大会に出場するというハードルは近年まで高かった。2014年には、国内に男子のトップリーグがふたつあるといった理由で国際バスケットボール連盟(FIBA)から国際大会への出場停止等の制裁を受けるなど、暗黒の時代も経験している。

 今回のチームでキャプテンを務めたベテランの富樫勇樹(PG/千葉ジェッツ)などは、かつてのそんな日本バスケットボール界の惨状を覚えている。それだけに、今回のパリ行きのチケットを自分たちで獲得したことを喜んだ。

 ふだんはクールな男も、カーボベルデ戦後は興奮気味の口調だった。

「僕が子どもの時に見ていた日本のバスケット界と、今のバスケット界の違いを見て、すごくうれしく思いますし、ここからまたつなげていきたいなという気持ちがあります」

 八村や東京オリンピックに出場したトップ選手の多くがその後の代表活動に参加してこなかったため、日本の最高のタレントが集結したとは言いがたかった。

 吉井裕鷹(SF/アルバルク東京)や井上宗一郎(PF/越谷アルファーズ)といった、所属チームでは外国籍選手たちのバックアップとして出場時間が著しく限られてきた若者たちが、トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)から才能を認められて招集されてきたことで、力を伸ばしてきた。

 前から当たるしつこくいやらしいディフェンスや、スピードと3Pシュートを生かした戦術・スタイルを導入し、サイズのなさを補いつつ、世界との「差別化」を図ってきた。

 しかしどれだけ優れた戦術も、選手たちがその手法で勝てるのだと心から信じることができなければ、意味がない──。

 それこそが、ホーバスHCが何よりも選手たちに求めるものであり、真髄なのだ。彼が率いた日本女子代表が東京オリンピックで史上初の銀メダル獲得という快挙を成し得たのも、それがあったからこそだ。

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