渡邊雄太の「言い訳はしない」責任感 ギャンブルに勝てずバスケW杯黒星スタート (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

【足首ねんざの影響で練習参加はドイツ戦の3日前】

 だが、ドイツ戦でチームを勝利に導くことのできなかったと感じる渡邉に対して、ホーバスHCはそのように責を負う必要などないと、試合後のロッカールームで彼に伝えたという。

「彼のプレーはファンタスティックだったと思います。シュートを決められなかったのは、そうかもしれません。ただ、彼は1カ月前にふくらはぎのケガをし、それを乗り越えてプレーしているのです。

 彼は(8月15日の)アンゴラとの強化試合で足首をねんざし、そこからの10日間、練習に参加できず、それができるようになったのはこの3日前からでした。彼は試合で十分に活躍できるほどの状態にはないのに、でも、プレーをしたのです。

 彼があれだけの数のシュートを打ったことは、まさに我々が求めていたことです。今日はそれが入らなかった」

 ホーバスHCは、渡邉を慰労するかのような言葉でこう続けた。

「彼のリバウンド、ディフェンス、ブロック......さらに30分ほどもプレーをしています。100%の状態ではないのに30分もプレーをするとなれば、スマートに、冷静にプレーせざるを得ません。彼にはそれができていました。彼はNBAのベテラン選手なのです」

 ドイツ戦後の取材エリア。どこか悲壮感を漂わせながら話した渡邉。痛い1敗であることには間違いないが、言うまでもなく大会はまだ終わっておらず、今大会でアジア1位となってパリオリンピックへの切符を手にするために、変わらず強い気持ちで前へ進む。

 繰り返しになるが、ドイツ戦で3Pを確率よく決められなかったことについて渡邊は「チームに迷惑をかけた。自分が決めきれるかどうかで日本を勝たせるかどうかにかかってくると思います」と語った。

 ただ、日本代表をあまりにひとりで背負い込む渡邉を、ファンたちも見たくはないだろう。そんな渡邉に、ホーバスHCはこんなメッセージを送る。

「我々はチームで、チームとして勝ちにいきます。ひとりが今日の(ドイツとの)試合の敗戦を背負う必要はありません。彼は本当にいいプレーをしましたし、勝ちたいと思っている人で、そこは本当にすばらしい」

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