日本バスケの至宝も31歳。6年ぶりに世界大会に挑む渡嘉敷来夢が「地味なんですけど...」と笑顔で言える理由 (2ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka
  • photo by AFLO

センターらしくない動きを模索

 2月に大阪で行なわれたワールドカップ予選トーナメントで、渡嘉敷は平均27分弱の出場時間で同6得点、5.5リバウンドを挙げた。8月中旬の仙台でのラトビアとの強化試合2試合では、平均33分強出場して10.5得点、4.5リバウンド。こうした数字を見比べても、そこは明確だ。

 今の日本代表は、東京オリンピックで活躍した髙田真希(PF/33歳/デンソーアイリス)や赤穂ひまわり(SG-SF/24歳/デンソーアイリス)、馬瓜ステファニー(PF/23歳/トヨタ自動車アンテロープス)、若手の東藤なな子(SG-SF/21歳/トヨタ紡織サンシャインラビッツ)や平下愛佳(SG/20歳/トヨタ自動車アンテロープス)など、幅広い年齢層が攻守で多彩なオプションを駆使しながら全員でプレーするスタイルだ。換言すれば、限られたスター選手に頼らない戦い方をしているのである。

 8月中旬に仙台で行なわれたラトビアとの強化試合。「世界一のアジリティ」を追い求め、センターも「センターらしくない動き」をする現代表のスタイルに適応するため、ずっと模索してきた。その難しさについて、渡嘉敷はこのように話す。

「はっきりと『役割はこれ』みたいなのが正直、まだわからなくて......。自分自身で描いているものが高すぎるからなのか、もうちょっとできてもいいのかなって思っている部分はあります」

 それでも、渡嘉敷が「選ばれし者」であることに変わりはない。それは、体躯と秀でた技量のことだけを指しているのではない。底抜けの明るさを持つ太陽のような存在の彼女だが、キャリアを重ねてきたことでバスケットボールの理解度が深まり、卓越したリーダーシップが備わってきたからだ。

 渡嘉敷とは長年コートをともにしてきた日本代表キャプテンの髙田は、渡嘉敷が「もっとこうしてほしい」といった厳しい指摘などを「みんなに対して言える」心強い選手であると評している。

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