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宇都宮ブレックスが優勝でMVPの比江島慎は涙。「自信をなくした夏」を経て本領を発揮 (3ページ目)

  • 永塚和志●取材・文 text by Kaz Nagatsuka

自己犠牲あってのチームワーク

 宇都宮としての戦いぶりもまた見事で、改めて彼らの「チーム」としての強さを感じたポストシーズンだった。今季、ライアン・ロシター(現・アルバルク東京)やジェフ・ギブス(現・長崎ヴェルカ)といった長年、チームの屋台骨を支えてきた選手が去り、CSではワイルドカードのシードからアウェーで強豪相手に全勝で最後まで駆け抜けた戦いぶりは、「感服」以外にない。

「ハードにプレーする」というのは正直、どのチームも言うことだが宇都宮が違うのは、そこを大前提とする「自己犠牲」があることだ。比江島以外に、個の力量が突出した選手はいないなかで、優勝に必須とすら言われる帰化選手の存在もない。現代バスケットボールの潮流はビッグマンでも3Pが打てることなのに、このチームの3人の外国籍選手のうち2人はそれをあえてしない。

 それでも勝ったのは、やるべきことを正しくやったからで、選手たちが自らを犠牲にしてチームに捧げることのできる「文化」が定着しているからだ。

 劣勢に陥った際に「タイムアウトを取らなくてもコート上で選手たちが解決してくれる」と選手たちを評したのは、安齋竜三ヘッドコーチ(HC)だ。バスケットボールIQが高く、ブレックスのやり方をよく理解するベテラン選手が多いのも大きい。

 ワイルドカードという下位シードからCSに入ったこともあって、安齋HCは「チャレンジ」という言葉をしつこいほどまでに強調した。選手たちもそれに応えるかのように、アウェーでの戦いを強いられながらも動じず、自慢の激しく、多彩なディフェンスを中心に自分たちのスタイルを見失わずに、勝ち続けた。

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