折茂武彦が語る今の日本バスケ界。「羨ましくないと言えば嘘になる」 (5ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by ©B.LEAGUE

 異端で波乱のキャリアを歩んだ折茂。この取材の3日後には50歳の誕生日を迎えようとしていた。孔子の「五十にして天命を知る」ではないが、「折茂武彦に天命があるのなら?」と聞いた。

「その答えを探す旅に、これから出るんだと思います。プレーヤーとして終わったことすらまだ受け止めきれていないのに、"これが僕の天命"と語るのは、綺麗事に聞こえるので」

 そして、折茂が取材最初の問いの答えを見つける。

「この情勢が落ち着き、新シーズンが無事に始まって、レバンガの試合をコートの外から見た時、初めて引退したことを実感するのかもしれないですね。"ああ、もう自分はあそこには立てないんだ"と寂しく思うのかもしれない」

 きっと正しい。ただ同時に、その時、会場を訪れた多くのブースターも、全国のバスケファンも同様に、コート上に背番号9、北のレジェンド折茂武彦がいないことを実感し、寂しく思う瞬間でもあるはずだ。

(おわり)

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