NBA3連覇か、黄金時代の終焉か。王者・ウォリアーズの「不安要素」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 今季終盤に、スポーツジャーナリズムの米ウェブサイト『The Athletic』が発表した選手間投票で、「来季のデュラントはどのチームでプレーすると思うか」という項目があった。その上位3位までの結果は以下の通りだ。

 1位 ニューヨーク・ニックス(63.3%)
 2位 ゴールデンステイト・ウォリアーズ(20.2%)
 3位 ブルックリン・ネッツ(4.5%)

 この問いに答えた109人のNBAプレーヤーのうち6割以上は、デュラントが一部の噂どおりに「ニックスに移籍する」と考えているということ。そんな未来が予想されている状況で、優勝を目指してチーム一丸となるのは簡単ではあるまい。
 
 黄金期を築いた"パワーハウス"が、内部から崩れていくことは珍しくない。マイケル・ジョーダンがチームを離れた後の1990年代のブルズ、シャキール・オニールとコービー・ブライアントの確執に揺れた2000年代のレイカーズもそうだった。だとすれば、ウォリアーズ王朝が今季中に終わる可能性も否定できない。

 もっとも、多くの故障者、チーム内のトラブルに見舞われながら、ウォリアーズはウェスタン・カンファレンスで1位の勝率を残してきた。この結果は、このチームの底力を証明しているという考え方もできる。

 4月10日、メンフィス・グリズリーズとのレギュラーシーズン最終戦後、デュラントは自信に満ちた表情でこう述べた。

「自分たちの立ち位置を気に入っているよ。シーズン最後の数週間でみんなが自身の役割を確立してきたと思う。スティーブ・カーHCも、僕たちがどんなプレーをしたらいいかを間違いなくわかっている」

 百戦錬磨のベテランチームが、実際にプレーオフ開始以降にさらにギアアップしても不思議ではない。ウォリアーズを脅かす強力対抗馬が、ウェスタン・カンファレンスに存在するわけでもない。ニコラ・ヨキッチを軸に躍進を遂げたデンバー・ナゲッツはまだ経験不足だし、ラッセル・ウェストブルック、ポール・ジョージを擁するオクラホマシティ・サンダーは、もうひとつ勢いがない。そんな中、5年連続のファイナル進出に向けた"最大の難敵"を挙げるとすれば、ヒューストン・ロケッツだろうか。

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