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NBAで飛ぶ鳥を落とす勢いの「怪童」。
アデトクンボが直面する勝負の時 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 これまで"リーグ最高の選手"の称号はレブロンが欲しいままにしてきた。今でも攻守両面でハイレベルな"キング・ジェームズ"は、依然としてナンバーワンプレーヤーと目されてしかるべきだ。しかし、レブロンも34歳を迎え、そろそろ下降線をたどることになっても驚くべきではない。
 
 レブロンに続く存在としては、デュラント、カリー、カワイ・レナード(トロント・ラプターズ)、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)、アンソニー・デイビス(ニューオリンズ・ペリカンズ)といった名前が挙げられることが多かった。ただ、グリフィンの言葉が象徴するとおり、ここに来てアデトクンボが急速に株を上げている感がある。

 過去5年間は1試合平均得点を毎年アップさせ、今季も前半戦の平均得点、リバウンド、アシスト、FG成功率はすべてキャリアハイ。周囲をワクワクさせるスケールの大きさも健在だ。とくに今季は、所属するバックスをここまでリーグ最高勝率に導いていることから、アデトクンボは現時点でシーズンMVPの最有力候補だろう。

 こんな足跡を考えれば、グリフィンが「レブロンの後継者争い」でアデトクンボの名前を真っ先に挙げたのも納得できる。レブロン、アデトクンボの2人がキャプテンとして名を連ねた2019年のオールスターは、後にターニングポイントのひとつとして振り返られるかもしれない。
 
 もっとも、「アデトクンボがレブロンとの差を詰めている」と聞いたら、現時点では抵抗感を覚える人も少なからずいるはずだ。"キング・ジェームズ"と"グリーク・フリーク"の最大の違いは、プレーオフでの実績にある。レブロンが昨季まで8年連続でファイナルに進出し、3度の優勝経験があるのに対し、アデトクンボはプレーオフのシリーズを制したことが一度もない。

 昨季もポストシーズンには進んだが、第1ラウンドでボストン・セルティックスに3勝4敗で惜敗。多くのヤングタレントを擁したバックスは「ブレイク候補」と喧伝(けんでん)されながら、結局は2年連続でのプレーオフ初戦敗退となった。とくに昨春は、セルティックスがカイリー・アービングを欠いていたことから「有利」と目されていただけに、その敗戦はアデトクンボにも重くのしかかったに違いない。

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