2019.02.20

NBAで飛ぶ鳥を落とす勢いの「怪童」。
アデトクンボが直面する勝負の時

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 現地時間2月17日、ノースカロライナ州シャーロットのスペクトラム・センターで行なわれたNBAオールスターで、”怪童”ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)がまたも大きなインパクトを残した。 

 大舞台で放った最初の9本のシュートをすべて成功。絶好のスタートで勢いをつけた通称”グリーク・フリーク(ギリシャの怪物)”は、最終的にゲーム最多の38得点をマークした。迫力たっぷりのダンク10本を決めただけでなく、11リバウンド、5アシストもマークするなど、その万能ぶりを存分にアピール。チームが逆転負けを喫したのは残念だったが、勝っていれば間違いなくMVPに輝いていたはずだ。

「アメリカ以外の出身でMVPを受賞した選手がいないことは知らなかった。自分はとにかくハードにプレーしようとしたし、楽しもうと思った」

 試合後の本人の言葉どおり、アデトクンボはMVPを狙ってアグレッシブに攻めたわけではないだろう。普段と同じようににエネルギッシュに躍動する姿は、とくに試合の前半は緊張感に欠けがちなオールスターの舞台でも際立っていた。

 特筆すべきことがもうひとつある。25歳とまだ若手の部類に入るアデトクンボが、今回のオールスターではレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)とともにキャプテンを務めたことだ。

「クレイジーだよ。僕は今、ロッカールームで”チーム・ヤニス”の選手たちと食事をシェアしている。自分がリーダーになって、レブロン・ジェームズと一緒にチームの選手たちを選んでいる。6年前に尋ねられたら、自分がこんな位置にいるなんて絶対に思わなかったはずだ」

オールスターでキャプテンを務めたレブロン(左)とアデトクンボ(右) 試合を前に、本人はそんな初々しいコメントを残してはいたが、アデトクンボが”チームの顔”になったことに異論がある選手はほとんどいなかったはずだ。ファン投票でイースタン・カンファレンス1位の票を集めただけでなく、選手間投票とメディア投票でもトップ。こういった数字が示すとおり、アデトクンボはNBA6年目にしてトップスターのひとりになったのである。

「リーグのベストプレーヤー争いは接戦になっていると思う。レブロンはずっとその座を保持してきた。しかし、ヤニス、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、それからケビン・デュラントとステフィン・カリー(ともにゴールデンステイト・ウォリアーズ)。こういった選手たちのおかげで、競い合いがより楽しいものになっている。互いに刺激しあって向上を続けているからね」

 オールスター前日のメディアセッション時、デトロイト・ピストンズのブレイク・グリフィンがそう述べていたのも印象的だった。