2018.11.01

恐竜か一角獣。NBAドラフト1位
216cmの恐るべき潜在能力

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko
  • photo by AFLO

 現代NBAのビッグマンは、大きく2種類に分類できる。恐竜(ダイナソー)と一角獣(ユニコーン)だ。

 昔ながらの、活動範囲がゴール下だけのダイナソー・タイプはまだ若干生き残っているが、スピードと機動力が求められる現代では以前ほど重宝されなくなり、活躍の場が年々減ってきている。いくらゴール下を支配できても、それだけでは生き延びられない。

フェニックス・サンズにドラフト1位で入団したデアンドレ・エイトン 代わりに台頭してきたのが、サイズがあっても活動範囲が広いユニコーンだ。高さがあるだけではだめで、攻守で機動力があり、ボールハンドリング力や外からのシュート力も持つオールラウンド型ビッグマンだ。

 今年6月のドラフトでフェニックス・サンズから1位指名されたデアンドレ・エイトンは、NBAに入る前から、次の『ユニコーン』だと期待されてきた。実際、216cmの長身と敏捷性の組み合わせは、大学バスケットボールでは圧倒的な存在感を示した。

 しかしそんな彼でも、潜在能力を認められて故郷バハマを出て、アメリカに渡った直後には、ただ単に大きいだけで、チームメイトから「TFN」とのあだ名で呼ばれていたのだという。TFNはTall for Nothing(無意味に長身)の略。異国の地に出てきたティーンエイジャーの少年にとって、なかなか残酷なあだ名だ。

 もっとも、それも仕方なかった。なにしろ、渡米直前の12歳のときにバハマで開催されたバスケットボールのキャンプに参加するまで、エイトンは本格的にバスケットボールを学んだこともなく、スポーツといえば草サッカーをしたことがあるだけだったのだ。

 それでも、当時すでに203cmだったという規格外の長身と、高い運動能力などの潜在能力を認められ、カリフォルニア州サンディエゴのコーチから求められて渡米。当時はそれがNBAにつながるなんて考えてもおらず、ただ単に、自分が渡米することで母と義父の経済的負担が減るなら、と考えての決断だったのだという。