【国内バスケ】若かりし折茂武彦。「ファンを完全にシカトしてた」 (4ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

 折茂は、まさに教科書どおりのスクリーンの使い方から、マークマンの対応次第では味方選手を突き飛ばし、加速をつけてノーマークを作ることすらある。マークマンを誘導し、あたかもマークマンが折茂の動きを、手を使って押さえ込んでいるように見せ、レフェリーに笛を吹かせることもある。

 チームメイトならば折茂を、「頼もしいエース」と思うだろう。逆に対戦相手なら、「汚い選手」と映るはずだ。

「ディフェンスを1秒引き剥がすために、もう、あらゆることをする。たとえばセットプレーをすると、相手はスカウティングしているので、どういうスクリーンプレーで僕をノーマークにしようとしているのか、大抵はわかってしまう。そんなとき、僕はセットプレーの最中に舌打ちをしたり、『おいおい』とかグチをつぶやいてみたりするんです。そうすると、マークマンはセットプレーが失敗したと思う。その一瞬に"ボン!"と出る。はい、姑息ですね(笑)」

 折茂は自身を「能力のない選手」と表現し、「ディフェンスを1秒、引き剥がすためになんでもする」と自身のプレーを解説した。それは裏返せば、「シュートを打てさえすれば、決められる」という自信の表れでもある。

 折茂が、「自分はシュートが人より入る」と自覚したのは、競技を始めてすぐ、中学生のころだった。

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