【国内バスケ】若かりし折茂武彦。
「ファンを完全にシカトしてた」

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • TOBI●撮影 photo by TOBI

レバンガ北海道・折茂武彦インタビュー@第2章

 北海道に来るまで、「誰かのためにプレーしたことなどなかった」と、折茂武彦(おりも・たけひこ)は語る――。その言葉を聞けば、エースのプライドと、危ういほどの傲慢さが背中合わせだった、若かりし日の折茂の姿を思い出すオールドファンも多いはずだ。

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1990年代の折茂武彦を自身に振り返ってもらった1990年代の折茂武彦を自身に振り返ってもらった 笛に納得できなければ審判に暴言を吐き、ボールをぶつけることすらあった。客席にボールを投げ込んだこともある。敗戦に激昂し、チームメイトが整列して客席に挨拶するなか、ひとり憮然とロッカールームに戻ったこともあった。

 見た目も茶髪にピアス、そして細い眉。当時の若者の、流行の最先端の姿そのものだった。折茂自身、あの日の自分を振り返るのは、ほろ苦さが伴う。

「負けず嫌いで、勝ちたい気持ちがそれほど強かったとも言えますけど、人としては未熟ですよね。若かったので、バスケットプレーヤーとしては今より優れていた部分があったかもしれない。でも、人間的には、まったくもってマズい。あのころの自分に、もし声をかけられるなら? 『ちょっと考えたほうがいいよ』ですかね(苦笑)」

 フォローするわけではない。ただ、その強烈な闘争心の裏には、譲れない思いがあった。

 1990年代初期、Jリーガーとプロ野球選手が六本木を、「我が物顔」で闊歩した時代。その姿を、折茂は瞼(まぶた)に焼きつけた。

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