NBA最小175cmのアイザイア・トーマスが磨く「最強メンタル」

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 ボストン・セルティックスのアイザイア・トーマス(PG)にとって、スピードやクイックネスと同じぐらい大事なのは、「彼自身の好奇心」かもしれない――。現役選手のなかで一番小さい175センチの彼が、NBAの大男たちと戦い続けるためには、いくらパワーやスピードをつけてスキルを磨いても足りない。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

ビックマンの壁をドリブルで切り込むアイザイア・トーマス(中央)ビックマンの壁をドリブルで切り込むアイザイア・トーマス(中央)「才能だけでは限界がある。このレベルにくると、みんな才能ある選手ばかりだ。だからこそ、一番大事なのはメンタル面だと思う」

 メンタル面を研ぎ澄ませるために、トーマスは偉大な先人たちの言葉や考え方を貪欲に学んでいる。それは、バスケットボール界に限らない。

 たとえば、そのひとりはブルース・リー。この夏、トーマスはツイッターで、「ブルース・リーを研究している」とつぶやいた。

「彼のメンタリティは、この世の中の誰ともまったく違う。彼の言葉を読んでみると、何かに集中してやろうとしたとき、すごく納得できる」

 なかでも、一番好きな「水になれ」という言葉は、スマートフォンに保存して持ち歩いているという。

「心を空っぽにしなさい。様式も形もなくしなさい。......水のように。コップに注げば、水はコップとなり、瓶に注げば、水は瓶になる。ティーポットに注げば、水はティーポットになる。水は流れることもでき、砕けることもできる。友よ、水になりなさい」(ブルース・リー)

 器が何であれ、周囲の環境が何であれ、自分が自由自在に形を変えることができれば、そこで生き延び、存在を示すことができる。適応すれば、そのなかで自分の力を発揮することができる。

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