快進撃ウォリアーズを率いる「35歳アシスタントコーチ」の正体 (4ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 試合中もベンチで、ウォルトンはスタッツをつける役割を与えられた。その過程でウォルトンは初めて、コーチたちがどれだけ時間をかけて試合の準備をしているかを知り、その面白さに引き込まれていった。このころからウォルトンは、引退後にコーチングの道を進むことを真剣に考え始めたという。

 次にコーチングのチャンスを与えたのは、アリゾナ大時代のチームメイト、ジョン・パストナーだった。2011年、NBAが約5ヶ月のロックアウトに入ったとき、パストナーは自身がヘッドコーチを務めるメンフィス大のアシスタントコーチをやってみないか、と持ちかけたのだ。この経験でウォルトンは、コーチングこそ自分のやりたいことだと確信し、やるならNBAに限るという思いを強くしたという。

 選手時代がそうであったように、コーチとしてのウォルトンも、その才覚は見えにくい。派手なアクションをするわけでもなく、暫定ヘッドコーチの立場だけに、自分のカラーを強く出しているわけでもない。今のウォリアーズでは、そよ風の日にヨットを走らせているだけのようにも見える。しかし、ウォルトンの落ち着いた性格や、バスケットボールに対する知識、流れを読む能力などが「怒涛の開幕12連勝」に貢献していることは間違いない。

 同じコーチとしてパストナーは、今、ウォルトンがやっていることはそばから見える以上に難しいことだと言う。

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