快進撃ウォリアーズを率いる「35歳アシスタントコーチ」の正体 (2ページ目)

  • 宮地陽子●取材・文 text by Miyaji Yoko  photo by Getty Images

 ウォルトンというと、ひとつ思い出すことがある。13年前、ショーン・エリオット(サンアントニオ・スパーズ専属解説者)が、「今の大学バスケでベストプレーヤーはルーク・ウォルトンだ」と断言していたことがあったのだ。それは、ウォルトンがエリオットの母校でもあるアリゾナ大4年のときのこと。

 実際には大学バスケ界で、ウォルトンをそこまで高く評価する声はほとんどなかった。いい選手ではあったものの、運動能力は並で、全米トップレベルの選手として評価されたのは、大学3年のときにいくつかあるオールアメリカン・チームのひとつ、スポーティング・ニュースのオールアメリカン・チームでセカンドチームに選ばれたときくらい。そのため、前出の発言は単なるエリオットの母校贔屓(びいき)なのだろうと聞き流していた。

 しかし、NBAに入ったウォルトンがロサンゼルス・レイカーズでプレーするようになり、試合を見る機会が増えてわかったのは、エリオットの評価がまったくの的外れというわけではなかった、ということだ。たしかに、ウォルトンはトッププレーヤーではないものの、他の選手にはない才能を持っていた。それをひとつの言葉で言い表すことは難しい。バスケIQであり、チームの隙間を埋める能力であり、チームを落ち着かせるバランス感覚であり......。数字では測りきれないような能力を、ウォルトンは人一倍、備えていた。

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