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【NBA】ステファン・カリーが欲しかった「もうひとつのトロフィー」 (5ページ目)

  • 水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro  photo by Gatty Images

 第5戦はリードチェンジが20回、同点が10回という大激戦となった。レブロンは40得点・14リバウンド・11アシストと再びトリプルダブルを記録するも、最後に押し切ったのはウォリアーズ。復調したカリーは7本のスリーポイントシュートを沈め、合計37得点を挙げた。

 そして第6戦。レブロンは32得点・18リバウンド・9アシストという大車輪の活躍を見せるものの、試合残り33秒で97対101の4点差に詰め寄ることが精一杯。結果、ウォリアーズが105対97でキャブスを下し、4勝2敗で40年ぶりのNBA制覇を成し遂げた。

 試合後、レブロンは「プレーオフでは健康な状態を保たないといけない。そして、少しの運が必要だ。俺たちは素晴らしいプレーをした。だが、運がなかった」と気丈に振る舞った。

 ただ、今ファイナルでのレブロンの大活躍に、「敗戦チームからファイナルMVP受賞者が誕生するかもしれない」と、会場はにわかに色めき立った。しかし、待っていたのは違った結末だった。ファイナルMVPを受賞したのは、レブロンでもカリーでもなく、伏兵のイグダーラ。投票で11票中7票を獲得し、最高の栄誉を手にした。

 ファイナルMVPのトロフィーを掲げるイグダーラの横で、満面の笑みを浮かべるカリーは言った。

「ルーキーから数えて6年。今、信じられないような経験をしている。チームのために自分を犠牲にして、努力してくれたチームメイト全員を愛している」

 表彰式でカリーは、チームメイトやスティーブ・カーHCとともに、優勝の証である「ラリー・オブライエン・トロフィー」を高く掲げた。ファイナルMVPのトロフィーでこそなかったが、それはたしかに、カリーが何よりも欲した自身ふたつ目のトロフィーだった。

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