【NBA】ドワイト・ハワード擁する新生ロケッツは危険大!
2013-14シーズンが開幕して早1ヵ月――。上位争いはまだ混沌としているものの、そんな中、全米中から注目を集めているチームがある。ウェスタン・カンファレンスのヒューストン・ロケッツだ。昨年のジェームス・ハーデン(前オクラホマシティ・サンダー)に続き、今オフはロサンゼルス・レイカーズからリーグ屈指のセンター、ドワイト・ハワードを獲得。2年連続で大物プレイヤーを手に入れ、昨シーズンのカンファレンス7位から大きくジャンプアップしようとしている。いざフタを空けてみて、ロケッツのチーム状況はどうなのか。「ミスター・バスケットボール」佐古賢一氏に話を聞いた。
昨年リバウンド王のドワイト・ハワード獲得で、ディフェンス力が格段にアップしたのは間違いない 開幕してまだ1ヵ月ですが、想像していた以上に、「ロケッツはチームとしてまとまっているな」という印象です。大物選手が加入すれば、チームのバランスが悪くなってしまうケースも多々あります。2012年、ドワイト・ハワードがロサンゼルス・レイカーズに加入したとき、それが如実に表れてしまいました。今回もその心配があったのですが、ハワードは早くもチームに溶け込んでいるように感じます。もともと、ロケッツのインサイドは弱くなかったのですが、昨年のリバウンド王ハワードが加入したことにより、より鉄壁さを増したのではないでしょうか。
なにより、就任3年目になるケビン・マクヘイルHC(ヘッドコーチ)の手腕の高さを感じます。「マクヘイルHCがハワードをうまくコントロールしているな」と感じたのが、11月14日のニューヨーク・ニックス戦でした。この日のハワードはあまり得点を奪うことができず、フラストレーションを溜めこんでいたと思います。以前のハワードなら、無理に得点を奪いにいって、自滅していたでしょう。しかしニックス戦では、得点が奪えないのであればリバウンドの仕事に徹して、チームのために落ち着いてプレイしていました。その結果、15リバウントを記録し、チームの勝利に大きく貢献したのです。あそこで我慢できるようになったのは、マクヘイルHCがハワードのために良い環境を作っている証拠でしょうね。
個人的に興味があるのは、211センチのハワード獲得によって、213センチのオメール・アシックとの「ツーセンター」が誕生した点です。このふたりが同時にコートに立つことで、特にディフェンス面が格段にパワーアップしたと思います。210センチオーバーのふたりにインサイドを固められると、相手はアウトサイド主体で対策を練り直さなければなりません。それほど、ハワードとアシックの存在感は非常に大きい。「リバウンドを制するものがゲームを制す」というように、今後、ツインタワーがどれだけ暴れまわってくれるのか、非常に期待しています。
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著者プロフィール
佐古賢一 (さこ・けんいち)
1970年7月17日生まれ、神奈川県出身。179cm/ポイントガード。北陸高→中央大→いすゞ自動車→アイシン精機。日本を代表する司令塔として活躍し、『ミスターバスケットボール』と呼ばれる。的確な判断力と要所の得点力で、JBLリーグ優勝9回、全日本選手権優勝12回を果たす。2011年に現役引退。
WOWOW(http://www.wowow.co.jp/sports/nba/)でNBA解説など活躍の場を広げている。現在はJBA理事ナショナル男子を担当。近況はコチラ