【女子バスケ】大神雄子、30歳で決断した海外再挑戦の理由。 (3ページ目)
気になる移籍先、今後の予定だが、今のところは何も決まっていないという。というのも、今年のアジア選手権は10月末。これに出場するとなると、秋から始まるヨーロッパ諸国のリーグ開幕に間に合わないからだ。もちろん世界選手権につながるアジア選手権を放棄していくことは、日本代表の強化という目標からは逸れることになる。
そんな中でも、3年前に世界選手権で得点王を獲った地、チェコのクラブチームからは、攻撃的なガードのスタイルを評価してもらい、5月に日本代表がスロバキア遠征をした際に、フロント陣と面会をしている。また3年前の世界選手権の直後に、当時のフランスのチャンピオンチームから正式にオファーを受けた縁があり、今年3月にはリーグのファイナルを観戦に行き、エージェントを通して接触を行なっている。
しかし、アジア選手権があるために、ヨーロッパのチームに入団する可能性は極めて低い。移籍市場が活性化する来春のヨーロッパのプレーオフシーズンを狙う手もあるが、現実的な可能性として考えられるのは、アジア選手権後の11月に開幕する中国リーグ。現在中国では、前年度の代表選手であることを条件に、アジア人枠の適用がある。実際、海外挑戦の先駆者である石川幸子(元日本代表)が中国リーグに在籍していた2年前には、エージェントを通して大神にも声がかかっている。WNBA選手が多く在籍する中国は、世界で注目を集めるリーグのひとつであり、アジアのライバル国を探るうえでも意味がある。
ただ今回の海外移籍は、外国人枠と入団時期の問題もあり、これまで以上に高いハードルであることは間違いない。いずれにせよ、今回の親善試合終了後から本格的にチーム探しに入る。
「最悪、今年は浪人も覚悟しています」と答える大神。だが、その先に見据える目標は決してブレていない。
「誰かが出ていかなきゃ、何も変わらないですから。どんな道に進むのであれ、今は信じた道に向かって前に進むだけです」
大神が切り拓いていく道は、女子バスケの進化と発展につながっていく。
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