大ベテランの献身。選手兼チーム代表・折茂武彦のバスケット新リーグへの思い (3ページ目)

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko 山本雷太●撮影 photo by Yamamoto Raita

――最終的に、しかしJBLを選ばれた理由というのはなんだったんでしょうか。

折茂「それは、選手です。チームが潰れて移籍した選手はもちろんいるんですが、大半の選手が僕を信じて残ってくれた。社団法人が正式にJBLに承認されたのは7月で、開幕が9月の後半。2か月半の中で、僕は『残っていてもチームができるか分からないので、移籍できる選手は移籍してくれ』と。それでも残ってくれたんです。僕の部屋に選手を集めて、『bjともこういう話をした。JBLとも今ここまで話が進んでいる、みんなはどっちのリーグでやりたいんだ』と聞いた。そうしたら全員が『JBLでやりたい』ということを、素直に言ってくれたので、『分かった』と。JBLでやろうと決断をしました」

――いよいよ今年NBLが動き出すわけですが、やはりどうしても問題の先送り感は否めないわけです。折茂さんは今のこの流れについては、どのようなお考えなんでしょうか。

折茂「若い時からスーパーリーグとかいろんな、名前だけ変わって中身はまったく変わっていないリーグがずっと続いてきたのを見て来ましたが、僕は、今回は若干違うと思っています。山谷(拓志/新リーグ運営副本部長)さんは改革してくれる人だと信じています。リンク栃木でプロチームの代表をやられていた方なので、プロ推進派なんです。

 いつもJBLの会議に出た時に、プロチームがいろいろ発言をしても、結局企業チーム6対プロチーム2(栃木と北海道)なわけです。そういう中でずっとやってきて、日本協会(JBA)がようやく重たい腰を上げたなとは思っているんです。

 bjと統合するという目標はあるにせよ、今は状況的に難しいと思います。bjはbjの立場があり、上からものを言うように新リーグに吸収なんてことは絶対無理です。パナソニックがこういうかたち(廃部)になってしまったことで、ようやくプロチームが7対5になったんです。プロが7、企業が5。今、逆転が起きているわけです。(※プロはJBLの栃木、北海道とbjリーグから参入する千葉ジェッツのほか新規参入チーム4の合計7チーム、企業はJBLから参加する5チーム)

 ここでプロリーグ化に拍車がかかるのではないかと。例えばフランチャイズ制だとか、地域名を入れなさいとか、今までそんなことはありえなかったんです。すべて反対、反対、反対。僕は今の立場になってから責任者会議に出て分かったんですけど、実際問題、これじゃあプロ化に進んでいくわけないと思いましたから」

――責任者会議に出て「ああ、こういうことか」と。

折茂「はい。ここで初めて『ああ、これではプロ化は無理だ』と。もともと全部が企業チームですよ。企業チームの話だけしていて、『それでは無理だ』と。僕からしてみれば企業の人たちは、これはほんとに失礼かもしれないですけど、自分たちのチームさえよければいいという考えが多すぎます。リーグをなんとかしようじゃないんです。それに、山谷さんと僕であれば、何かの問題が出ても、その日に解決できるんですよ。

 だけど、ほかのチームの代表者たちは一回持ち帰るので、話が全然進まないわけです。だから何回会議をやっても同じなんです。企業チームの代表者たちには、代表者と言っていても決定権がないわけですから。じゃあなんのためにこの会議をやっているのかということすら分からないという状態でした」

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