大ベテランの献身。
選手兼チーム代表・折茂武彦のバスケット新リーグへの思い
『スポーツ紛争地図』 vol.3 第3回
第1回>> 第2回>>
JBLでリンク栃木ブレックスと並んだもうひとつのプロチーム、レバンガ北海道の折茂武彦理事長(現在の運営法人は一般社団法人)に、新リーグであるNBLについて話を聞いた。
日本を代表するシューターである折茂は現在、極めて異例な立場、現役選手でありながら、チームのオーナーも兼ねる。
トヨタ自動車での安定した選手生活を投げ捨て、北海道のレラカムイ(レバンガの前身)に身を投じるも、経営破綻から、チームはJBLを除名される。プロ選手として現役を全うするつもりが、火中の栗を拾い今ではチームの経営責任者も兼任する彼の半生は、バスケのプロ化の混迷をまさに全身で受け止めてきたとも言えようか。理事長就任に至った経緯から語ってもらった。
42歳になる現在も選手としてプレイを続けるレバンガ北海道の折茂武彦理事長折茂「レラカムイに入る前、僕はトヨタ自動車で14年間プレイをさせていただいていて、優勝も何度か経験し、当時36歳で、そろそろ現役引退してもいいんじゃないかという時期に入っていたんです。トヨタ自動車が常勝軍団になっていましたので、自分のプレイ時間というのも、そう長くなかったということもありました。
でも、ちょうど2006年に日本で世界選手権があって、そのタイミングで、代表監督のジェリコ(・パブリゼビッチ)に招集されたんです。自分が果たして世界に通用するのかという意味で、大会に出て、結果的にベスト16には入れなかったんですけれども、役割はしっかり果たせて、36歳でも戦えるということも分かったんです。
であれば、トヨタ自動車にいるのではなく出場できるところに行きたい。その当時初めてできたプロチームがチャレンジする場にはちょうどいいということでレラカムイ北海道に移籍しました。しかし、ふたを開けてみたら経営難に陥っていたということで、チームがJBLから除名を受けてしまった」
1 / 5