【F1】角田裕毅の予選最下位は最初からわかっていた 謎のグリップ不足にピレリのエンジニアも首をかしげるほど (2ページ目)
【予選だけでなく決勝も絶望的な状況】
セットアップがうまく突き詰められず、マシンの性能を引き出せなかった過去何度かの予選での不発とは、わけがまったく違う。
マシンの前後バランスは、セットアップによってこれ以上ない状態に仕上がっている。しかし、とにかく全体的なグリップレベルが低いのだ。
ハードタイヤではゴムのグリップの低さゆえにスライドが起き、その摩擦のせいで表面だけがオーバーヒートして芯まで温まらず、本来のグリップが引き出せない症状が起きていた。しかし温まりやすい、むしろ早く温まりすぎるソフトタイヤでこの症状が起きているのは角田だけ。その状況に、ピレリのエンジニアも首をかしげた。
「原因はセットアップではないと思います。(考え得る)ほぼすべてのセットアップは試しましたし、それによって多少、あっちがよくなったりこっちがよくなったりはありました。実際にマシンバランスは、なんとかうまくまとめ上げることができて悪くなかったです。
僕も自信を持てる状態で、予選のラップはどちらもよく、特に最後のアタックはかなりよかったと思います。ただその感触が、ペースとリザルトとまったく合致していないんです」
グリップ不足のせいで、FP2で行なったロングランも甚大なデグラデーション(タイヤのタレ)を示していた。予選だけでなく、決勝でもいい走りができるとは到底思えない、絶望的な状況だった。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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