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【F1】角田裕毅の的確な提案にレッドブルのエンジニアも驚き 「みんなユウキのコメントに耳を傾けていた」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【ホンダ責任者も驚いた角田の成長】

「ホームグランプリなので、ファンの皆さんの前でポイントを獲って終えたかった。オーバーテイクが難しいのはわかっていましたけど、そのなかでも最大限やれることをやってなんとかできればと思ったんですが......」

 マシンを降りた角田は、口を真一文字に結んで、それでもファンの声援には手を振って応えた。

 逆にそういった状況を味方につけ、最速ではないマシンでポールポジションから優勝をもぎ取ったマックス・フェルスタッペンの腕を、まざまざと見せつけられたレース週末でもあった。

 だが、12位という結果ではなく、内容に目を向ければ、収穫は多かった。

「今日はこのクルマで初めて53周という長い周回数を走ることができて、いろんなことを学べました。1周ごとに違うことが起きて、クルマに対する理解もかなり深まったと思います。結果を除けば内容はとてもよかったと思いますし、今週末の成長は想像していた以上でした」

 レッドブルの用意したマシンに乗せてもらっているという姿勢ではまったくなく、むしろ角田が若手エンジニアたちをリードしてセットアップやレースを進めていくようなフィードバックの仕方だった。

 レッドブルの首脳陣やエンジニアたちも角田のそういった成長ぶりには驚きを隠せない。すでにチームの主要な一員として、当たり前のようにいる存在となっている。

 決勝の戦略についても、チームが提案した案に対して角田は自身の考えを論理的に述べ、チームを説き伏せてハードタイヤスタートからミディアムタイヤスタートに切り替えたという。

 ホンダの現場運営責任者であり、レッドブル側の担当チーフエンジニアでもある折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーは、久々にレース週末の角田を間近で見て、その成長ぶりに驚いたという。

「レッドブルに来た裕毅を見て驚いたのは、チームやエンジニアに対してかなりサジェスチョン(提案)をしていて、チーム側もそれに耳を傾けているということです。クルマの挙動に対するコメントがより詳細になっていて、クルマで何が起こっていて、それに対してどうしてほしいのか、すごくわかりやすく説明できています。

 セッティングに関しても、自分から意見を言ってエンジニアと会話しながら進めていて、チームも裕毅のコメントをすごく聞いて作業を進めていました。チームのなかでけっこうイニシアチブを持ってやっているなと感じました。

 マックス側のエンジニアや上級エンジニアも、裕毅のコメントに耳を傾けて参考にしていたくらいで、裕毅のフィードバックはチーム側にいい印象を与えていたように感じられました。ほかのエンジニアも『今までこういうことはなかったと思う』と話してしました」

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