【F1】角田裕毅「頭がカッカした」衝突が致命傷となる可能性 決勝の53周のデータが失われた損害は大きい (3ページ目)
【開発の方向性を再び見失うことになる?】
フロア自体はダウンフォースを生み出しているものの、マシン挙動がピーキーでは、ドライバーはそのダウンフォースを最大限に生かすことができない。限界ギリギリで走るマシンから突然ダウンフォースが抜ければマシンはコントロールを失うわけで、突然失われる可能性があるダウンフォースはあるものとして、信頼して扱うことはできないからだ。
今年のモンツァは新舗装によって路面自体がピーキーで、苦戦するドライバーも多かった。それに加えて、通常とは異なる極端なロードラッグ仕様の前後ウイングを装着し、マシン全体のダウンフォース量は少ない。
こうしたイレギュラーな環境のなかで、新型フロアの本来の性能を引き出せなかった可能性もある。それをこれからのデータ分析で徹底的に理解しなければならないが、だからこそ決勝の53周にわたるデータが失われてしまった損害は大きい。
これはフロアひとつの問題ではなく、今後のマシン開発全体の方向性を左右する大きな問題だ。セットアップやフロア自体の微調整で想定どおりの効果を発揮させられるならいいが、新型フロアが不発だとすれば、チームは今後に向けた開発の方向性を再び見失うことになる。
RBは今シーズン残り8戦、そしてその延長線上で戦う2025年に向けて、極めて大きな分水嶺に立っていることになる。
著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。
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