今季F1は「近年稀に見る壮大なショー」 中野信治が熱弁するランド・ノリスの特殊能力 (4ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

【ドラマのような大逆転劇が起きるのか】

 今年のF1は面白いですね。前半戦で7人のウィナーが誕生しましたが、毎回、解説をしていても本当に誰が勝つのかわかりません。こんなシーズンは久しぶりです。

 後半戦のスタートとなるオランダGPの舞台となるザントフォールトは低速コースなので、どちらかといえばマクラーレンのマシンに合ったコースとなります。後半戦のカレンダーを見ると、第17戦のアゼルバイジャンGP、第18戦のシンガポールGPも速いと思いますが、マクラーレンのマシンはオールラウンダーになっています。どのサーキットでも優勝争いに加わってくるでしょう。レッドブルが相当頑張らない限り、コンストラクターズ選手権の獲得は難しいかもしれません。

 昨年は22戦中21勝でシーズンを完全制圧し、今シーズンも開幕から圧倒的な強さを見せていたレッドブルをマクラーレンが倒したら、本当にドラマのような大逆転劇です。近年稀に見る壮大なショーが今まさに目の前で行なわれています。

 僕自身、後半戦を本当に楽しみにしていますし、ファンの皆さんも見逃さないでほしいですね。

終わり

前編<F1レッドブル失速の背景にある「弱点」とは? 中野信治が読み解くチャンピオン争いの行方>を読む

【プロフィール】
中野信治 なかの・しんじ 
1971年、大阪府生まれ。F1、アメリカのカートおよびインディカー、ルマン24時間レースなどの国際舞台で長く活躍。現在は豊富な経験を活かし、ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿の副校長として、F1参戦を目指す岩佐歩夢をはじめ、国内外で活躍する若手ドライバーの育成を行なう。また、DAZN(ダゾーン)のF1中継や毎週水曜のF1番組『WEDNESDAY F1 TIME』の解説を担当。

プロフィール

  • 川原田 剛

    川原田 剛 (かわらだ・つよし)

    1991年からF1専門誌で編集者として働き始め、その後フリーランスのライターとして独立。一般誌やスポーツ専門誌にモータースポーツの記事を執筆。現在は『週刊プレイボーイ』で連載「堂本光一 コンマ1秒の恍惚」を担当。スポーツ総合雑誌『webスポルティーバ』をはじめ、さまざまな媒体でスポーツやエンターテイメントの世界で活躍する人物のインタビュー記事を手がけている。

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