角田裕毅の「ドライバースワップ騒動」で霞んだRBの問題点 10位入賞のチャンスをみすみす逃した (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【角田裕毅が「許せない」気持ちになるのは当然】

 バイエルCEOは、チームとしてはどちらが13位でも構わず、ポイントが絡まないのであればわざわざ順位を戻す必要はないと判断したと説明する。

 だが、ドライバーとしては許せないという気持ちになるのは当然だった。角田にとってはチームメイトのリカルドに対し明確な優位性が示せるどうかが2025年以降のキャリアに直結するだけに、どちらが13位でも構わないなどとは言えないのだ。

「そうですね。(ドライバースワップをする際の)ルールとしてきちんと話し合っておくべきだと思いますし、今後に向けてきちんと見直す必要があると思います」

開幕戦のバーレーンGPは恒例のナイトレース photo by BOOZY開幕戦のバーレーンGPは恒例のナイトレース photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る レース後、ローラン・メキース代表が角田の個室に向かい、長時間にわたって話し合いが行なわれた。メキース代表はチーム新体制の初戦でさまざまな要素がきちんと整理されていなかったことを説明し、角田の感情に理解を示し、今後に向けてチーム一丸となって改善していくことを約束し、角田もそれに理解を示したという。

 ある意味では、失ったのが13位でよかった。入賞ができるかできないかという瀬戸際でこのようなことになる前に、きちんと"地ならし"ができていたのはよかったと前向きに考えるべきだろう。

 問題は、10位入賞のチャンスをみすみす逃してしまったことだ。

 角田は初日の大苦戦から予選11位へと挽回を見せ、フリー走行でトライしたセッティングの方向性が間違っていたにもかかわらず、そのトライと失敗があったからこそ最適なセットアップが見つけられたとチームを賞賛した。そこには角田自身の「クオリティ最優先」というアプローチもしっかりと貢献していたはずだ。

 その結果が、Q3進出までわずか0.007秒という予想外の好予選だったのだ。

 スタートもしっかりと決め、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)の後方10位を堅守した。1回目のピットストップを9周目という早いタイミングで行ない、アンダーカットを果たしたランス・ストロール(アストンマーティン)や周冠宇(ジョウ・グアンユー/ステーク)に対し、5周引っ張ってそのタイヤ差を生かしてコース上で抜き返した。

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