角田裕毅とタイム差0.183秒 岩佐歩夢、F1マシン初ドライブで速さをアピール (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【アタックのたびに自己ベストを更新していく岩佐】

 それでも、さまざまなデータやシミュレーターでの経験から、岩佐が想像していた範疇ではあったようだ。

「F2とF1はまったく別次元だと聞いていましたけど、正直に言って、想像していたよりはマシでした。想像の1.5倍くらいですかね。

 もちろん、首はF2マシンをドライブするよりきつかったですし、もっと鍛える必要があると思います。ですが、1日を通してドライブすることができましたし、最後までプッシュしきれましたし、チームのプランどおりに進めることができたので、(フィジカル面は)それほど大きなリミテーションにはなりませんでした。

 身体の使い方の改善点であったり、もう少しここ(の筋力)が必要だなといった小さな微調整は必要かと思いますが、最後までテストをこなせなくなるようなことにはなりませんでしたね」

 午前中は、アブダビGP週末のハードタイヤにあたるC3の1セットのみで12ラン45周を走行。最初の10周ランで習熟を終えて、十分に走行が可能と判断されたため、それ以降はチームが必要とする空力マッピングのデータ収集を行なった。

 それと並行して、旧型フロアで走行するダニエル・リカルド車との比較でセットアップのデータベース作りに貢献。最終戦に投入したばかりの新型フロアを岩佐が担当してデータ収集にあたったことからも、チームからの岩佐に対する評価の高さがうかがえる。

 そして午後は、供給された8セットのうち7セットの新品タイヤを使ってタイムアタック。これはチームのためというより、岩佐自身のためのテストだ。

 実際の予選と同様にコースインしタイムアタック、タイヤを冷やすクールダウンラップを挟んでもう一度アタック。これをC3で2セット、C4で2セット、そして最後にC5で2セット行なっていく。

 それも、アタックのたびに自己ベストを更新していくのが岩佐らしい。F2の予選と同じように、クールダウンラップの間にエンジニアと交信しながら、自分の頭のなかでも改善点をまとめ直していたのだろう。

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