角田裕毅、F1キャリアの大きな分岐点 入賞をフイにしたミスを認めることができるか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

【予選でもチームプレーに徹していた角田だが...】

 49周目の目の前のコーナーだけを見れば、あそこで行かなければレーシングドライバーじゃないと思うかもしれない。

 しかし、71周のレース全体、メキシコシティGPのレース週末全体、そしてコンストラクターズランキング7位を目指しポイントを積み重ねつつあるシーズン全体を見れば、レイトブレーキングで仕掛けるところまでいったとしても、安全マージンを残して確実に抜ける場面でなかったのなら、リスキーなドライビングはするべきではなかった。

 メキシコシティGPではパワーユニット投入による最後尾スタートが決まっていただけに、角田はフリー走行ではレースペースに集中したセットアッププログラムを進め、予選ではリカルドの前を走ってスリップストリームを与えるチームプレーに徹した。リカルドがQ3に進出し4番手タイムを記録できたのは、この角田のアシストによってQ1でセーブした新品ソフトタイヤをQ3でフル活用できたからにほかならない。

 レース中盤にケビン・マグヌッセン(ハース)がクラッシュした際にも、マクラーレンやウイリアムズがセーフティカー導入の瞬間にピットに飛び込んだのに対し、角田は事故現場のバリアが壊れているのを見て「赤旗になると思う」と冷静に伝えて正しい戦略選択をアシストし、ポジションアップにつなげている。

 チームの利益を最優先に戦ってきたこの週末で、あの場面だけはチームのためではなく、自分のために走ってしまった。早くリカルドに追い付きたい、そのために早くピアストリを抜きたいという焦りが苛立ちに変わり、最後は荒っぽいやり方でねじ伏せようとしてしまった。

 今シーズンはすっかり鳴りを潜めていた、デビューイヤーの角田を見るような強引で独りよがりな走りだった。

 18位からスタートして8位までポジションアップを果たし入賞が確実なレースで、こういう結末に終わってしまったことに落胆しない者はいない。それはファンもチームも角田自身も同じだ。

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