角田裕毅「開幕戦11位」がポジティブな理由とは...イライラも爆発させずに同僚デ・フリースとの違いを見せた (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【角田は最後まで冷静だった】

 その結果、想定よりもかなり早い25周目にガスリーが2回目のピットストップでアンダーカットを仕掛けてきた。アルボンと角田はこれに反応して26周目に同時にピットインすることになり、角田はアンダーカットのチャンスを失ってしまった。

 VSC(ヴァーチャルセーフティカー)が入った40周目にピットに飛び込み、ソフトタイヤに履き替えた。ここからアルボンとの3.5秒差を毎ラップ0.1〜0.3秒ずつ、じわりじわりと、しかし着実に縮めていった。

 そして53周目、いよいよDRS(※)圏内に入り、ギャップは0.5秒まで縮まった。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 ただ、それでもウイリアムズはストレートが速く、最後にタイヤのグリップを残していたアルボンは巧みに決定機を作らせない。

「僕がコーナーで近づいても、ストレートの速さで彼に離されてしまいました。DRSが使えない状況で約12km/hもウイリアムズより遅かったので、その差は大きかった。

 自分はミスなくプレッシャーをかけ続けて、アルボンがミスをすればそこを突こうと考えていました。でも彼もミスをすることはなかったので、抜くことができませんでした。次はミスを待って抜くのではなく、クルマのペースの差で抜けるようにしたいです」

 今までの角田なら、フラストレーションを溜めて集中力を失いそうな場面はいくつもあった。しかしレース序盤から最終盤まで、角田は冷静に、そして完璧なレースをしてみせた。マシンのすべてを出しきったと言えた。

 それでも角田は「ポイントが獲れなくて悔しいです」と語り、マシンの改善が急務だと訴えた。レース後にはテクニカルディレクターのジョディ・エジントンと個人的に話し合い、マシン開発の方針について訴える場面も見られた。

「レース週末が始まった時点では9番目のチームで、フラストレーションも溜まりましたけど、3日間を通してやってきたことがいい結果につながったと思います。クルマの理解も進みましたし、今後のアップデートに期待したいと思います」

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