「こんなの馬鹿げている」。角田裕毅、5カ月ぶりの入賞でも苛立ち。なぜガスリーを先行させたのか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

角田はチーム指示に猛反発

「正直、厳しいなと思っていました。ペースもそんなに自信は持てていませんでしたし。ただ、走ってみるとミディアムがすごくよかったんです。そのおかげでスタート直後に何台ものマシンをオーバーテイクすることができました。ほぼすべての(オーバーテイクポイントの)コーナーで抜いていくことができたので、ポジティブでしたね」

 そういう意味では、ミディアムタイヤを2セット残す戦略は正解だった。ガスリーはミディアムを1セットしか持っていなかったが、角田はミディアム、ミディアム、ハードと2ストップ戦略で、レースの大半を好感触のミディアムで走ることができたからだ。

 さらに前方でランス・ストロール(アストンマーティン)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が接触し、セーフティカー(SC)導入で7位ガスリー、8位角田というアルファタウリにとっては絶好の展開となった。

 チームはここで、角田に「ガスリーには仕掛けるな」とチームオーダーを出した。角田はガスリーより温まりがよく、ペースも速いミディアムタイヤを履いていただけに、この指示に強く反発した。

 SCからのリスタートに際して、チームメイト同士の接触はもちろん、後続に隙を突かれることを避けるためにも、この指示は決して間違いではない。問題は、リスタートを終えて順位が安定してもなお、アルファタウリがポジション維持を指示し、自由に戦ってもいいと指示したのが3周もあとになってからだったことだ。

 そして、明らかに角田のほうがペースがいいにもかかわらず、ポジションの入れ換えを指示せず、ガスリーがSC中の違反で審議対象となっても、そして5秒加算ペナルティが出されてもなお、ポジション入れ換えのチームオーダーが出されることはなかった。

 無駄なバトルをしている間に、前のセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)とのギャップは7周で7秒にまで広がってしまった。後方にはランド・ノリス(マクラーレン)、ミック・シューマッハ(ハース)が迫ってきた。このタイムロスはあまりに痛かった。

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