「俺の言うことを聞け!」「俺にゴマするな!」。闘将・星野一義監督の育てた強いカルソニックブルーが帰ってきた! (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

令和でもブレない星野流

 平峰はかつてホンダの育成ドライバーとして全日本F3選手権を戦っていたが、ホンダ陣営から離れることになったあと、GT300クラスでコツコツと実績を積み重ねていた。そして2020年、GT500クラスにステップアップするチャンスを掴み、チーム・インパルへの加入が決まる。

 当時の平峰について、星野監督は振り返る。

「ホンダの育成から外れた平峰がウチのチームに来るので、『よし、俺が磨いてやる。だが、言うことを聞け!』と。また這い上がってもらいたいという想いで、磨き直そうと思った。周りの評価とかそういうのもあるけど『そんなのは関係ない!』と言って、そうやっていくうちにどんどんよくなっていった」

 一方、平峰も星野監督への思いを語った。

「星野監督からたくさんのプレッシャーを与えてもらいました。時には監督部屋でふたりきりになって『ここが足りてないから、ここをやれ!』『何とかしろ!』『俺の時はこうだった!』と、いろんな話をしてもらって奮い立たせてもらいました。

 でも、そこに愛があるので。僕はこのチームが好きですし、星野監督はドライバーに対する愛情が本当にすごいです。それがあるから、力を出しきれる原動力になっていると思います」

 ホンダ系のドライバーとして長年活躍し、今年から日産に移籍したバケットに対しても、星野流のスタンスは変わることはない。

「今年は新たにバケットが加わったけど、『いいか、ウチは意欲と速さがないとダメだから! 俺にゴマをすっても意味はないからな!』と口すっぱく言い続けてきた。みんなお金をもらって、プロとしてハンドルを握っている。それがドライバーの仕事ですからね」(星野監督)

 独特な星野流のスタンスも、バケットは理解済みだ。

「星野監督からたくさんの刺激を受けている。いい時は何も言わないんだけど、結果がよくない時は的確に足りないところを指摘して、『なぜ今ダメだったのか?』『もっとこうするべきなのではないか?』『ここを直さないといけない!』と厳しく突っ込んでくる。もちろん、怒られることもある。

 でも、彼が言っていることは的確だし、すごくたくさんの経験を持っていて、チームの状況も見渡すことができている。どうすればチームが正しい方向に向かっていくかもわかっている。彼が言うことは、僕たちにとって強力な後押しになっている」

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