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フェルスタッペンの驚異的な速さの理由は何? 14番グリッドから18周目に首位に立った「異次元」の走り (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

ルクレールの攻めの姿勢

 シャルル・ルクレールはフェルスタッペン同様にパワーユニットの降格ペナルティで15番グリッドからスタートし、1周目を終えた時点でフェルスタッペンの背後9位につけていた。しかし、捨てバイザーがブレーキダクトに入る不運でピットストップを余儀なくされ、後方集団に捕まって大きくタイムロスを余儀なくされた。

 その後、5位まで追い上げたところで最後にファステストラップを狙うべくピットインし、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)に一度は抜かれたものの、それによってDRS(※)を得て最終ラップにアタック。だが、フェルスタッペンの最速タイムに0.6秒及ばず、実際には燃料搭載量が30kgほど違ったため、マシンの純粋なペース差は明らかだった。

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

 このトライを無謀だとけなす声もあるが、フェルスタッペンから1ポイントを奪い、自分が1ポイントを得るためのトライは、決して間違いではない。フェラーリにはこれまであまり見られなかった攻めの姿勢だ。アロンソの1秒前で戻る計算ではあまりにハイリスクと思われがちだが、タイヤ差とDRSがあれば抜き返すことは容易であり、それはリスクではない。

 結果的に車速センサーのトラブルでピットレーン平均速度が1.0km/hオーバーしてしまい、5秒加算ペナルティで6位に後退することになってしまったが、それがなければ何も失うものがなかったトライだ。決して無謀な戦略ミスではなく、理に適ったトライだったと言うべきだろう。

 いずれにしても、このベルギーGPの勢力図がシーズン後半戦の勢力図ではない。スパ・フランコルシャンというあまりに特殊なサーキットでの勢力図であり、一般的なレンジのサーキットではどんな展開になるかは未知数だ。

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