20歳の岩佐歩夢がF1直下カテゴリーF2で初優勝。覚醒した走りは、角田裕毅でも見ることがなかった圧倒的な速さ (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Getty Images

次の日本人F1ドライバー候補

 ほかの誰よりも長く14周目まで引っ張ってピットイン。その間に作ったギャップもあって、岩佐は実質的にトップのままコースに戻ることができた。

 ハードタイヤに交換してからは、2位に上がってきたテオ・プルシエール(ザウバー育成)や3位のフレデリック・ベスティ(メルセデスAMG育成)をさらに引き離す走りを見せた。

「正直なところ、ほぼフルプッシュでした。最低限のマネージメントはしましたけど、基本的にはクルマ側のセットアップでタイヤを労わるのがうまくハマっていました。テオとのギャップを聞いていてどんどん離れていくので、ペース的には楽勝だなと思いながら、でもマシントラブルや自分のミスの可能性もあるので、メンタル的にはかなりしんどかったですけどね。

 エンジニアが残り14周から毎周『残り何周』って言ってきていたので、そこからが長かったですね(笑)。それが長くて、長くて、長すぎて、『早く終わってくれ!』って思いながら走っていました」

 しかし、セーフティカーが入っても十分に勝てるくらい、岩佐は速かった。

 この速さは第3ラウンドのイモラからすでにあった。ただ、岩佐自身のミスやチームのミス、不運などでなかなか結果につながらないレースが続いていた。

 だが、普通にレースができればトップレベルの速さがあることは、これでハッキリと証明された。

「イモラの頃から勝てるポテンシャルはずっとありましたし、もっと早く勝ってもおかしくなかったですし、勝てなかったのは自分の力不足もありました。チームワークの失敗もありましたけど、そこがよくできているのは、自分としても自信になっています。チームをまとめるという点でもその役割はドライバーが果たすべきだと思っているので、それがいい方向に向かっているのではないかと思います」

 F2はハンガリーと夏休み明けの3連戦が終われば、次は最終ラウンドのアブダビ。ようやく覚醒した岩佐がどんな活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。

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