モーターホームで世界を転戦する女子高生レーサーJujuが新たな一歩。年齢も性別も「コースに出てしまえば関係ない」 (2ページ目)

  • 川原田 剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi

ーーWシリーズは事前のテストがなく、ほぼぶっつけ本番でレースを迎えることになると。新人ドライバーにとっては厳しい環境ですね。

Juju
 Wシリーズは30分の公式練習があって、そのあとにすぐに予選です。ヨーロッパやアメリカの広いサーキットなら30分だけで何周できるのかなって感じです。サーキットを覚えるだけで終わってしまうかもしれません。

野田英樹 初めてのマシン、コースで30分間の練習走行をしたあと、いきなりの予選で前に行こうと考えて走っていたら、気持ちが焦るばかりで、取っ散らかってしまうと思います。だから1年目は別に順位を気にしないで、伸び伸びと楽しく、その場その場で自分ができることを精一杯やればいいと。やれることをすべて出しきったと思えるようなレースを目指すのがいいんじゃないかとJujuには話しています。

Jujuを指導する元F1ドライバーで父の野田英樹氏(左)Jujuを指導する元F1ドライバーで父の野田英樹氏(左)この記事に関連する写真を見るーーWシリーズでは「アカデミー・チーム」に所属し、2022〜2023年の2シーズン戦うことが決まっています。どういう目標を持っているのでしょうか?

Juju
 契約期間は2年で、落ち着いてレースができるチャンスをいただけました。今シーズンに関しては、すでに参戦して2〜3年目という選手から学べることは学んでいきたいです。あと私にとっては初めて走るサーキットばかりですし、クルマやチームなどすべてが新しくなります。その環境に少しずつ慣れていって、毎戦ベストの走りをして確実に成長することが今年の目標です。そして、参戦2年目には結果を残したいと考えています。

日本のファンに「成長した姿を見せたい」

ーー3月にはスペイン・バルセロナで行なわれたWシリーズのプレシーズンテストに参加しています。印象に残ったことは?

Juju
 女性ドライバーだけというのはサーキットではあまり見慣れない光景で新鮮でした。これまでのレースでは女性選手が5人いれば多いなと思っていたので(笑)。でもヘルメットを被ってしまえば、女性だろうが、男性だろうが、10代だろうが20代、30代だろうがわからない。コースに出てしまえば関係ないと思います。

ーーWシリーズは今秋に鈴鹿サーキットで開催されるF1日本GPでもサポートレースとして開催されます。日本のファンにどんな走りを見せたいですか?

Juju
 もう半年もないんですよね。すごく楽しみです。海外まで来て生でレースを見たいと言ってくださるファンの方々もいるのですが、コロナの関係で日本から出られない状況でした。やっとファンの方にレースを生で見ていただける機会なので、成長した姿を見てもらいたいです。

ーー指導する立場として野田さんは今年、Juju選手にどんな成長を期待していますか?

野田英樹 これまでファミリーチームでやっていたなかから一歩外に出ていくわけなので、社会に出ていく第一歩だと思います。コミュニケーションや交渉能力などを磨いて、外の世界でも惑わされることなく、自分の能力を発揮できる力を身につけてほしいと思います。

 これまでのレースでは私が中心になってチームをつくっていますので、チーム全員が「Jujuを勝たせよう!」という気持ちで戦っていました。Wシリーズの新しいチームでも同じようにJujuを担当してくれるスタッフたちに、「勝たせたい」と思わせることができるのか。Jujuが努力をして、スタッフとコミュニケーションを取りながら、その環境を自分でつくり上げていかなければなりません。これまでと違って大変ですが、Wシリーズには帯同しますので、アドバイスやサポートはできると思っています。

Juju 課題を出せばキリはありません。チームやエンジニアとのコミュニケーションはひとつの大きな課題だと思います。しかも自分の母国語ではない英語でやらなければならないので、もっとハードルが上がります。でも将来、私にとっていつか絶対に必要になってくる部分なので、早めに経験できるのはラッキーだと前向きにとらえています。

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