レッドブル・ホンダ、異次元の走りでハミルトンを凌駕。角田裕毅も今季ベストレース (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 後半戦から採り入れた慎重なアプローチ方法に加えて、このレースからはエンジニアたちとのコミュニケーションをさらに密にし、ランごとにできるだけ速くマシン状況やフィーリングをフィードバックすることでセットアップ改善のペースを速くするトライを試みた。つまり、レース週末の中のステップバイステップの歩みをさらに加速させようとしているわけだ。

 それがうまくいき、決勝でも好ペースを刻むことができた。これは角田にとって極めて大きな意味を持つ。

「裕毅、今シーズンのベストレースだ。僕たちはここから強くなれる。とても重要なポイントだ」

 9位でチェッカーを受けた角田に、レースエンジニアのマティア・スピニが声をかけた。自己最高位は6位だが、レース週末全体の内容としては間違いなく、これまでのベストだった。

「周りと違ってソフトタイヤでスタートしなければならなかったので厳しい状況でしたが、1周目のグリップにはアドバンテージがあったので2台を抜いて、そのアドバンテージを最大限に生かせたと思います。そのあとはとにかくタイヤをセーブすることに専念しました。

 チームメイトがリタイアしたので自分がポイントを獲らなければならないという責任も感じていました。コンストラクターズ選手権5位争いを考えれば、とても重要なことですから。最終的に長い間できていなかったポイント獲得が果たせたことはとても満足していますし、チームのみんなに感謝しています」

 前戦トルコで果たせず悔しい思いをした入賞をやり遂げ、ようやく角田は長いトンネルから抜け出そうとしている。

 シーズンは残り5戦。中南米に続いて、初開催の2戦と大幅なコース改修が施された最終戦アブダビまで中東3連戦が続く。

 短いようで、まだまだ先は長い。レッドブル・ホンダも、角田裕毅も、2021年に果たすべき仕事はまだまだたくさんある。

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