レッドブル・ホンダを救った「恵みの雨」と「正しい決断」。濡れた路面でピカイチの速さを見せた (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

「スタートで出遅れてしまったけど、とにかく混乱に巻き込まれないように気をつけた。ランドがどのくらい前にいるのか、自分がどこにいるのかもわからない状態でレースをしていたけど、ベストを尽くし、マクラーレンの1台を抜いてからランドを追いかけていった。

 トラフィックに引っかかるとか、ミスでもないかぎり、ランドを抜くのは難しかったかもしれない。彼はまったくミスを犯さなかったし、本当に速かったし、すばらしい走りをしていたからね。彼はまだ若いし、この先にいくつもの勝利が待っているよ」

 一方、金曜FP1の走行でメルセデスAMGとのタイム差を見て、4基目のパワーユニット投入とペナルティ消化を決めたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、前戦イタリアGPで科された次戦3グリッド降格もあって、最後尾20番グリッドからのレースとなった。

 彼が目指すのは優勝争いではなく、1点でも多くポイントを獲るレースだった。実際のところ、それが決して簡単なものではないこともわかっていた。

 ドライコンディションとはいえ、土曜の大雨で路面は汚れ、タイヤには厳しい状況が予想された。そして実際に走り始めてみれば、金曜のロングランデータがまったく役に立たないほど、タイヤの振る舞いは異なるものだった。

 レース序盤こそ下位勢・中団勢を次々とオーバーテイクしていったが、1レース保つはずのハードタイヤはレース前半でグリップを失い、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)よりも前に出ることはできなくなってしまった。

 26周目という早い段階でタイヤ交換を強いられ、残り半分をさらに柔らかいミディアムで走り切らなければならないという苦しい状況。やはり最後はタイヤが厳しくなり、ピットストップで抜いたはずのアロンソにコース上で抜き返されてしまった。

「雨がなければ7位か、よくても6位で終えていただろう。フェルナンド(アロンソ)に抜かれてしまったけど、僕の左フロントが終わってしまっていたのに対し、彼のほうがいいタイヤを履いていたからね。ハードタイヤがあんなに早くダメになってしまうとは思わなかった。

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