角田裕毅、自己最高位でも笑顔なし。同僚ガスリーとの差は開くばかり (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 タイトル争いの相手であるルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は、赤旗からの再スタート時に各車がピットインしてスリックタイヤに履き替えるなか、ただ1台だけインターミディエイトのままグリッドに並ぶ戦略判断ミスを犯し、最後尾まで落ちてしまった。

 ただ、ハミルトンはフェルスタッペンに抑えこまれるも、先にタイヤ交換を行なってアンダーカットし、前が開けたところでペースアップ。フェルスタッペンと同じように2ストップ作戦で前走車を猛追し、1周目の多重事故とハミルトンの戦略ミスで首位に立ったエステバン・オコン(アルピーヌ)とセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)との25秒ものギャップをひっくり返すほどの速さを見せた。

 しかし、そのハミルトンの前に立ちはだかったのがフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だ。シーズン前半戦で取り戻した老獪なドライビングで、10周にわたってハミルトンと好バトルを展開する。

 最後はハミルトンが前に出て3位まで浮上したものの、首位オコンの2.7秒後方まで追い上げたところでタイムアップ。アロンソの好バトルが最高のアシストとなり、チームメイトのオコンが初優勝を挙げた。もちろん、4度の王者ベッテルを常に1.5秒以内に従え、ミスを犯すことなく70周を走り切ったオコンの実力による勝利だ。

 ハミルトン対フェルスタッペンのバトルが見られなかったのは残念だった。だが、彼らはほかと異なる戦略を採り、それぞれが置かれた状況のなかで最大限の戦いを繰り広げ、すばらしいドライビングをみせた。

 シルバーストンでの出来事から、両者の対立を煽るような声も少なくない。そんななか、フェルスタッペンは「もうそんなクソみたいな質問はたくさんだ、二度としないでくれ」と言い切った。

 予選最後のアタックを巡って、ハミルトンがレッドブル勢のアタック開始を妨害したかのような中継映像の切り取られ方もされた。だが、彼らはコース上で真っ向勝負をすることを望んでいる。スペインGPやフランスGPのような胸のすくような好レースを望んでいるのは、我々ファンも彼ら自身も同じだ。

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