レッドブル・ホンダ、痛いノーポイント。敗因は「ハミルトンの地元」を侮ったことだ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、極めて強い言葉でハミルトンのドライビングを非難した。

「左フロントと右リアが接触しているんだ。だからルイスは並びかけるところまでは至っておらず、完全に横に並んでいたとは言えない。そして上空からの映像を見れば、ルイスはターンイン時にラインがワイドになっていて、オーバースピードで入っていることもわかる。

 あれでは追い抜きは絶対に成功しない。7度の世界王者としてはアマチュアのようなミスだ。あのような結末になるのは当然のこと。7度の世界王者が危険なドライビングをして、ほかのドライバーを病院送りにした。私はそのことに失望しているんだ」

 ただし、ハミルトンは後ろからノーズを突っ込んで押し出したわけではない。2台はほぼ並んでコーナーに入っていき、ハミルトンのほうがわずかに後ろにいたからスチュワードは彼にペナルティを科した。時速300kmや4Gを超える極限の世界を知るドライバーたちは、ハミルトンが故意に当てたとは思っていない。

 一方のフェルスタッペンも、インにハミルトンが並びかけていることはわかっていたはずだ。ただ、彼に責任はないが、チャンピオンシップを考えれば事故を回避すべきだった。目の前のコプスを制することやイギリスGPで優勝を掴み取ることよりも、確実にポイントを獲ることを優先すべきだった。まさしく、これまでハミルトンがやって来たように。

 イモラやバルセロナでは、「自分がアグレッシブに行けば、ハミルトンは引くだろう」というドライビングが成功した。実際、ハミルトンが引いていたから、事故には至っていなかった。

 しかし、今回のハミルトンはターン1から明らかに違い、地元の大観衆の前で「絶対に勝ちたい」という強い意思が表われていた。ここがポール・リカールやレッドブルリンクなら、ハミルトンは引いたかもしれない。だが、今回は勝ちを譲る気がないという意思であふれていることに、フェルスタッペンも気づくべきだった。

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