中野信治がホンダF1の戦力を分析。レッドブルのペレスに期待できる理由 (3ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄(マシン)、村上庄吾(人物)●撮影 photo by Sakurai Atsuo, Murakami Shogo

 その今季は本当に見どころが多いと思います。元世界チャンピオンのフェルナンド・アロンソがアルピーヌから復帰し、4度の世界チャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルがフェラーリからアストンマーティンに移籍。ベテランのふたりがどんな活躍をするのか、すごく楽しみですし、新人ドライバーにも注目が集まっています。

 7度の世界チャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハの息子ミックは難しい戦いを強いられそうです。チームのマシン開発は滞っているようですし、チームメイトも同じく新人のニキータ・マゼピンで、角田にとってのピエール・ガスリーのようなベンチマークにはなりえません。

 ミックはマゼピンを圧倒するぐらいの成績を出さないと評価されませんが、今年のハースはマゼピンの父親であるドミトリーが会長を務める世界的な化学肥料企業「ウラルカリ」がメインスポンサーとなり、実質的にマゼピンのチームとなっています。

 それにマゼピンは決して遅いドライバーではありません。速さと勢いのあるチームメイトに対して、ミックが圧倒的な差をつけて勝てるかといえば、そう簡単なことではないでしょう。この1年間、ミックは相当に頑張らなければ、いくら伝説のチャンピオンの息子とはいえF1に残っていくのは容易ではないでしょう。

 ミックにとって大事になのは、かつてのミハエル・シューマッハのように、チームを自分の方向に引っ張っていくことができるか、そこに尽きます。マゼピンのチームをミックのチームに変えていくには、単にマシンを速く走らせるだけではなく、周りの人たちを味方につけるという、ドライバーとしての能力が試されます。

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