15歳の日本人女性レーサーが目指す世界の頂。身体は吉田沙保里が目標 (2ページ目)
ーー父親としてだけでなく、ドライバーの先輩として見ても、Juju選手はすごく成長したということですね。逆に足りないところはありますか?
野田 速さや集中力の部分でいうと、もうアドバイスすることはほとんどありません。ただ、これから先、何年も親子でやっていけるわけではありません。数年後には、親離れをして独り立ちしていくことになる。そうすると、いろんな人と関わりながら仕事を進めることになります。例えば、マシンのセッティングをする時にひとつの言葉が人によって全く違う受け取られ方をすることもありますから、コミュニケーション能力や表現力などはまだまだ成長してほしいし、そこに関しては私が伝えられることはまだあると感じています。
ーーこれまでJuju選手がお父さんから教えられた中で、一番、心に残っている言葉や考え方は何ですか?
Juju 昔からずっと言っている「負けても負けても諦めない」という言葉です。勝たなければダメというよりは、負けてもまた次に勝てばいいという意味です。レースに限らず、スポーツはずっと勝ち続けることはほとんど不可能です。勝つこともあるし、負けることもある。1回負けただけで心が折れかけて、次に立ち向かえないというのではなく、たとえ負けてどん底に落ちたとしても、そこからまた自分の力で起き上がって次に進んでいくという考え方です。
そういう姿勢がすごく大事だと、お父さんは言葉だけでなく、行動で見せてくれました。「負けても負けても諦めない」という言葉は今までも私の大きな支えになってきましたし、これからも役に立つだろうと思っています。
1994年、ラルースからF1に参戦した野田英樹ーーJuju選手は5歳でお父さんのようなプロのドライバーになると決意したそうですが、その時から現在までにレースをやめたいと思ったことは一度もなかったですか?
Juju あります(笑)。本気でやめたいと思ったことはないですが、やめようかなと思ったことなら何度もあります。例えば小学生の時には友達と遊びたいとか、練習ばっかりで学校の行事に出られなかったりした時ですね。「同年代の友達は遊んでいるのに......。やめたいな......」と思ったりするのですが、レースを手放してまでそっちがほしいかって言われると、「そうでもない」という結論になります。
レースでも全部が絶好調というわけにはいきません。うまくいかない時には、やめたらもっと気持ちが楽になるのかなという考えが頭をよぎることもあります。でも、やめて一瞬、得られるものよりも最後はレースを取りたいなと、いつも思いますね。
2 / 5