レッドブル・ホンダ、天国から地獄へ。なぜトップから失速したのか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 空力が効くコーナーでは、マシン本来の速さが生きる。しかし、メカニカルグリップが必要とされる場所では、タイヤにしっかりと熱を入れてグリップを引き出せなければ速く走れなかった。

 実際のところ、ほぼすべてのコーナーでフェルスタッペンは最速タイムと通過速度を記録している。だが、直線区間ではすべてレーシングポイントが上回っていた。

「ラップタイム的には速かったかもしれないけど、それまでの(ウエットタイヤでの)走行に比べるとグリップはまったくなかった。つまり、あの時点での僕らにとってのベストなタイヤではなかった。ウエットタイヤではずっとトップにいただけに、インターミディエイトタイヤをスイッチオンする方法か何かで欠けていたものがあったんだと思う」

 アルファロメオ勢がウエットタイヤでまずまずのペースで走り続けたように、コンディションはウエットとインターミディエイトの境界線だった。ウエットはうまく使えるがインターミディエイトは使いこなせないレッドブルとしては、ウエットタイヤのまま行くべきだったのかもしれない。

 決勝も直前に雨が降り、ウエットコンディションでのスタートとなった。

 最大のライバルであるメルセデスAMG勢が予選6位・9位に沈んでいるだけに、予選2位のフェルスタッペン、4位のアレクサンダー・アルボンとしては十分に優勝を狙える状況だった。

 しかし、フェルスタッペンはスタート発進で大きく出遅れて8位まで後退し、1周目に4位まで挽回するのがやっと。フェラーリのセバスチャン・ベッテルに抑え込まれて抜けず、その間に首位のストロールは15秒も先に行ってしまった。

 決勝でもウエットタイヤからインターミディエイトへの交換はやや遅れ、前のセルジオ・ペレスを抜きにかかったところでコースオフしてスピン。これでタイヤを壊して再度ピットストップを余儀なくされ、8位まで後退してしまった。

 その後も中団グループ勢に抑え込まれて抜くことができず、彼らがタイヤ交換のためにピットインしたところで3位まで浮上したものの、フェルスタッペン自身もタイヤが保たずに大きくペースダウンして再びピットストップ。またしても中団グループ勢の後方に戻り、そのまま6位でフィニッシュすることになった。

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